吉里颯洋の年甲斐ない日記

作詞家・吉里颯洋のブログ

【作詞教室・爽塾】2023年後期_Lesson10

私こと、吉里颯洋がオンラインにて主宰している「作詞教室・爽塾」。

生徒さんの声も交えながら、2023年後期10回目のレッスン・レポートをお届けします。

1限目の内容は・・・

今回のレッスンは、作品のレヴュー(講評)がメインテーマ。「最新の課題曲に書かれた歌詞を優先する」というセオリーに逆らって、完成間近のクリスマスソングのレヴューから行いました。しかも、果敢にも「修正箇所を指摘して、レッスンのその場で歌詞を仕上げてもらう」という爽塾史上初の試みにトライ! なぜ、こんなことをしたのかと言えば、このタームの終了まであと3回という追い込みの時期なので、少しでも新作の歌詞の制作に時間を割いて欲しく、このスタイルにトライした次第です。「次回までに、ここを直してください」というやり取りができるのもあと数回ですから、「先を急ごうぜ!」という決断でした。トライの結果、該当箇所の問題点をロジカルに指摘すると、生徒さんがこちらが思う正解をすぐにレスポンスしてくれたので、ついにクリスマスソングは完成! 別記事にアップしているとおり、完成版は現時点での最高傑作になったかと思います。以下、生徒さんのコメントです。

まずは、歌詞が完成して良かったですね。苦労も味わったとは思いますが、作詞の楽しみ、歌詞を完成させる達成感が存分に味わえたのではないでしょうか。これを励みに、粛々と前進していきましょう。大切なことは、「1つの作品が完成するまでに得られた経験や学びを他の作品の制作に生かしていく」ことです。さらに噛み砕いて言うと、「どこをどう直されたのかをきちんと把握して、出来る限り、その修正のプロセスを独力で実行できるように努めていくことです。

2限目の内容は・・・  

短い休憩を挟んで、難敵と戦う2限目に突入。

生徒さんが7曲目の課題曲に対して企画したストーリーはなかなか秀逸で、夢を諦めきれずにあがく主人公の生き方は男性の自分から見ても大いに共感できるものでした。以下、企画書より一部抜粋してご紹介します。

「主人公は31歳。地元で一度就職し2年ぐらい働いたが、やっぱり歌がいい、一度きりの人生、自分の大切なもので生きようと思い25歳の時に上京した。恋人はおらず、自分が夢を叶えるまでは脇目も振らず、夢だけを追うつもり。現在はライブハウスで30〜50人程度の集客があり、応援してくれているも熱心なファンもいる。オーディションでは最終選考にパスしないという経験をたくさんしていて、メジャーデビューのチャンスが掴めていない。灯りが見えない焦りと辛さのなかでもがいているのが現況。上京後はずっと、バーテンダーの仕事を続けてきた。かつては凱旋して地元の友達に成功した姿を見せたいと思っていたが、東京で音楽仲間と出会って気持ちが変わった。 自分が頑張ることで応援する人たちを笑顔にしたい。ファンの人たちがもっと喜んでくれるような、そんな夢の叶え方をしたいと思うようになった」

これだけ濃厚なストーリーがありながら、作詞が難航しているのはなぜなのか? 少々お話してみてたどり着いた結論は、「さまざまな葛藤を抱えながら夢を追う主人公の忸怩たる心情をリアルに感じられていないからなのではないか?」ということ。とは言え、何も恥じることはありません。生まれて初めて聴いた課題曲から受けた印象からインスピレーションを得て、たかだか30分ぐらいで前述したような濃厚なストーリーをまとめられる人がどれだけいるでしょうか? 

もっとも、爽塾では、新作の歌詞を作る度に、この企画立案のステップをしっかりやっていくので、回を重ねるごとに誰しも習熟していきます。「面白そう!」と思った方は、お気軽に爽塾の門を叩いてみてくださいね。

閑話休題。

話をレッスンに戻すと、リファレンスとして、歌詞の主人公が好んで聴いていそうなロックナンバーを2曲続けて聴いてもらいました。課題曲そのものはロックナンバーではありませんが、彼のようにガッツを燃やして生きる男性の決してきれいごとではない、リアルな心の叫びを味わって欲しかったのです。

レッスン後には「自分を励ますために、彼が聴いているお気に入りのロックナンバーたち」というコンセプトで、プレイリスト を作成、生徒さんにシェアしました。架空の人物であるストーリーの主人公に取材することはできなくても、彼が拳を握りしめて聴いているであろう楽曲たちに触れることで、彼の本音に迫れると思ったからです。さらに、「作詞するのはいったんやめて、彼が気に入りそうな歌詞のフレーズを曲ごとに抜き書きしてみて」という課題を出しました。これまでは未知のジャンルだったロック、ロックンロールの世界に少しずつ触れながら、生徒さんには新しいドアを開けてもらえればと思っています。作詞を始めて1年未満なら、まだまだビギナー。焦ることは一切ありません。仕事でなく趣味でやる作詞ならではの「〆切なし」の開放感を楽しみつつ、いつの日か、この作品を完成させてもらえれば幸いです。

 

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※絶賛公開中のリトル・リチャードのドキュメンタリー「I Am Everything」を上映中のシネマート新宿のディスプレイ。kotonohaさんが構想中の歌詞の主人公が実在していたら、必ずチェックしているはず。なぜなら、偉大なるロックンロール・ジャイアンツの1人、リトル・リチャードは、このジャンルの源流で輝き続けるシャイニング・スターですから。