吉里颯洋の年甲斐ない日記

作詞家・吉里颯洋のブログ

【ほぼ全文掲載】「ロッキンスター」NOBODY特集_#03 『LIVE ワン!』

「ロッキンスター」とNOBODYとわたし

かつしかFMをキーステーションに全国28局ネットで放送されているラジオ番組「ロッキンスター」は、DJ佐々木健二さんのマニアックな選曲で、時代を超えたロックの名曲たちを紹介していく音楽プログラム。

タワーレコードでの『NOBODYレコードデビュー40周年リイシュー企画』に同期するように、同番組でNOBODY特集を隔月でオンエアすることが決定。某SNSに今でも存在するNOBODY関連のコミュニティで、私こと吉里颯洋とDJの佐々木健二さんが知り合ったご縁もあり、光栄なことに初回からゲストとしてお招きいただいています。本特集のコンセプトは、各回ごとにNOBODYのアルバム1枚にスポットを当てて、名曲の魅力をファン目線であれこれ語り合うというもの。

今回は、2023年10月13日、NOBODY最初のライヴアルバム『LIVE ワン!』をテーマにオンエアされたトークをテキストにしてお届けします。

※以降、『J:佐々木健二さん / S:吉里颯洋』と省略して記載します。

 

名盤『LIVE ワン!』とは……?

J 2ヶ月に1回、今日はこの方が登場します。作詞家の吉里颯洋さんです!

S こんばんは、吉里颯洋です!

J 吉里颯洋さんがご登場ということは、特集するのは何でしょうか?

S はい。NOBODYです(笑)!

J 今夜はですね、NOBODYの特集、第3弾ですね。ファースト・アルバムの『NOBODY』、セカンド・アルバムの『POP GEAR』に続いて、今夜取り上げるのは、リリース順としては3枚目にあたる『LIVE ワン!』になります。

このアルバムは、NOBODYのレコードデビュー40周年プロジェクトとして、去年から順次リイシューされてるうちの1枚でして……。

S そうですね。タワーレコード限定なので、Amazonとかでは買えない貴重なアイテムというか……。

J オールド・ファンとしては、もちろん音源がリミックスだったり、リマスターされたりしてるのも嬉しいんですけども、ボーナス・トラックが入っているのも魅力ですよね。

S ライナーノーツに最新のインタヴューが出てるんで、めっちゃ貴重だなというか。今はサブスク時代なんで、何でもサブスクで聴いて聴いた気になっちゃうんですけど、やっぱりCDを買ってきてライナーノーツで解説読んだりとか、当時の写真を見ながら聴いたりすると、「CDっていいな、やっぱり!」みたいな気になってきますよね。今さらながら、「あ、CDのコレクションを捨てるのはやめとこう」みたいな結論に至りました(笑)。

J 「せっかく集めたCDを捨てるのは絶対やめた方がいいっすよ!」と言う気持ちにさせてくれた今回のリイシュー企画でしたね(笑)。さて、本題ですが、この『LIVE ワン!』のオリジナルは、1984年の4月5日のリリースでした。ちなみに、リリース前年の1983年の12月22日、日本青年館のライヴを収録してパッケージにしたアルアバムなんですよね。当時の思い出を話すと、4月5日の発売なんで、このアルバムを聴くと、春をやっぱりイメージするんですよね。よく聴いてたからだと思うんですけど、出てすぐ買ったっていうか、パッと買ったっていう思い出がありますね。僕が最初にリアルタイムで買ったNOBODYのアルバムはセカンド・アルバムの『POP GEAR』なので、ライヴ・アルバムが出るぞと聞いて俄然盛り上がっちゃった記憶がありますね。当時、地元の岩手から上京していた兄貴から、「NOBODYは新宿ルイードとか名古屋のバーボンハウスとか、そういうライヴハウスでやってるんだよ」と聞いていて、いよいよホールでコンサートやるっていう情報を知って、それがライヴ盤になるらしいっていう噂を聞きつけてすごい期待したのを覚えてますね。もちろんレコードで買ったんですけど、購入者特典があったんですよ。レコードとジャケットと同じぐらいの大きさの「アイロン・プリント」が付いていて。確か、NOBODYのロゴだとか、あとジャケットのデザインだったかな。あれをTシャツに乗せてアイロンで熱すると圧着できるアイテムで……。

S 企画がちょっとアイドルっぽいですけどね(笑)。 

J 思い起こすと、使わずにそのまま保存してたような気がするな。

S 実家のどこかにあるみたいな?

J いや、東京にありますね。レコードのコレクションは全部、東京に持ってきてるんで、きっと事務所のどこかにあるはずなんですけども。と言うことで、今夜の『ロッキンスター』は吉里颯洋さんをお迎えしてお送りするNOBODY特集の第3弾といたしまして、オリジナルが1984年の4月5日、そして40周年のリイシュー盤としては2022年の11月30日にタワーレコードからリリースされた『LIVE ワン!』を紹介していきます。まず1曲目、何から行きましょう?

 

歌詞もメロも強力すぎる「LET ME BE」

S 「LET ME BE」っていう曲なんですけど、アン・ルイスさんの「I Love Youより愛してる」の原曲ですね。アン・ルイスさんのヴァージョンは三浦百恵さんこと、山口百恵さんが作詞されていて。タイトルとサビに登場する「I Love Youより愛してる」って、すごくキャッチーなフレーズなんですけど、オリジナルの英語ヴァージョンの歌詞が〈お前の彼氏になれないなら、俺は死ぬ!〉みたいな強烈な歌詞なので、元々の歌詞の意味、ニュアンスをうまく生かしてというか、意図を汲んで書いたのかなっていう気はしますよね。

J まずは聴いてもらいましょう。曲紹介をお願いします!

S NOBODYで「LET ME BE」! ♪〜〜曲が流れる〜〜

J 今夜の『ロッキンスター』は吉里颯洋さんをお迎えして、NOBODY特集の第3弾。オリジナルは1984年の4月5日にリリースされた『LIVE ワン!』を紹介しております。1曲目に聴いていただいたのは、「LET ME BE」でした。この曲を初めて聴いた時に、ファースト・アルバムやセカンド・アルバムには入ってないじゃないですか? つまりは初耳だから、新曲に聴こえる訳ですね。キャッチーなイントロから入って、同じフレーズがサビのメロディーにもなっていて、強烈なパワーの曲だなと感じた覚えがあって。こういう曲、あんまりないですよね?

S すぐに思い当たるところでは、ストーンズの「START ME UP」だったら、ギターのリフとサビのメロディがで同じですけど、確かにありそうでないですよね。

J 自分としては、もう、〈♪チャッチャーチャ!〉っていうイントロのフレーズがそのまんまサビのメロディーになるのは新鮮だったんですよね。

S このメロディーは洋楽のスタンダードなロック・ナンバーとあれこれ比較しても、超強力だと思いますよ。


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I Love Youより愛してる / アン・ルイス



ギタリスト相沢さんの手癖を語ってみた!

J この曲の前に木原さんが歌ってる「BACK TO BACK」っていう曲あるじゃないですか? いわゆる、ちょっとした小ネタなんですけど、この曲のイントロのギターのフレーズは相沢さんが弾いてるはずなんですよ。その元ネタというか、「元フレーズ」っていうのを僕知ってるんですよ!

S そりゃまた、なんで気づいたんですか?

J 「BACK TO BACK」聴いた時に、「なんか聴いたことあるな」と思って、しばらくしてから気がついたんですけど、とりあえず「BACK TO BACK」のイントロだけ流しますね。

(♪〜〜 「BACK TO BACK」の冒頭が流れる 〜〜〜 )

ココ!(イントロのフレーズを歌って)この部分!コレがですね、ササキ・ハッカーセイによるとですね(笑)、1978年の6月リリースされた永ちゃん(矢沢永吉さん)の『ゴールドラッシュ』に収録されている「昨日を忘れて」のギターソロの後のサビに絡むギターの(オブリガード的な)フレーズがこのメロディーとまったく同じなんですよ。♪きっと昨日があるから〜(と歌って)のすぐ後ですね。

S あぁ、ホントだ。

J そこだけ抜き出してきたんで、ギターソロの終わりからちょっと聴いてもらっていいですか? (♪〜〜 「昨日を忘れて」のギターソロが流れる 〜〜〜 )この後です。ココ!

S (笑)。(笑)。(笑)。これは、元ネタというか、ギタリストのいわゆる手癖でしょ(笑)? でも、すごい! よく気づいた、佐々木さん(笑)! 

J でもそうでしょう? (ギターのフレーズを歌って)ココ、途中まで同じでしょ?

S (相沢さん的には)どっちも自分のフレーズだから、パクリじゃないじゃんみたいな(笑)。

J なんかね、(矢沢ファミリー時代の)相沢さんが割と低い音でオブリガード的なフレーズを弾いてることがそこそこあるんですよね。あれがね、結構、NOBODYの音源にも出てきてるなってのがあって……。

S でも、どっちも弾いてるのは同じ相沢さんなんでイイじゃん的な(笑)。

J それを言われるともう……(笑)。

S いや別に、同じ人だから得意のフレーズがあちこちに出てきて、何度弾こうがOKという(笑)。そういうことですよね。

J (笑)。そういや、颯洋さんとは、永ちゃんの通算100回目の武道館ライヴに一緒に行きましたけど、1977年の永ちゃんの第1回目の日本武道館ライヴの1曲目って、「カモン・ベイビー」じゃないですか? エンディングの〈♪デッテテレレ、デッテテレレ、ジャンジャーン!〉っていう最後のフレーズをそのまんま、ビートルズのカバー・アルバムでNOBODYが演奏している「YOU CAN'T DO THAT」のエンディングでも、あのフレーズを使ってますよね。

S そうなんですか(笑)?

J そうなんですよ。(好きなフレーズを幾度か使うのは)あれはもう確信犯だなって感じがして。

S もしかしたら、(ルーツを辿っていくと)ビートルズがどこかのライヴでそれ演ってて、それを永ちゃんのライヴでも使っていたのかもしれないですけど……。

J どうですかね?

S 探せば何か、どこかに証拠がありそうじゃないですか。あちこちのスタジアムのライヴの音源とかを漁れば……。

J なるほど。探せばあったりして。実は、今日までこのネタをひた隠しに隠してたんですよね、颯洋さんには(笑)。それで(選曲依頼した際に、このネタを話したいがために)「木原さん(ボーカル)の曲で、別の曲もないですかね?」って聞いてたという(笑)。

S (メールでそう言われた時に)いや、なんでそんなところにこだわってるのか、意味が分からなくて(笑)。

J すみません。まわりくどいことをやっちゃいまして(笑)。

 

かわいすぎるあの曲は、ストックからの蔵出し?

J 「BABY YOU'RE MINE」ですけど、またいい曲なんだよなぁ。僕、この曲のね、流れるような歌詞とメロディーがすごく好きなんですね。リリース当時、〈♪〜〜 SO WON'T YOU LET ME WHISPER IN YOUR EAR, MY HEART 〜〜と歌って〉あそこのなんか優しい感じのメロディに痺れた覚えがありますね。

S 自分が今、この曲を聴いて想像して楽しんでるのは、あえてNOBODYのお二人に聞きたいとかそういうことでもないんですけど、キョンキョン(小泉今日子さん)サイドから頼まれて彼女のために書き下ろした曲なのか、それとも元からこの曲がストックにあって、これちょっと男2人で歌うのはちょっとかわいすぎるよねって判断で提供したのか、どっちだったんだろう?っていうことで。今となっては真実は分からないんですけど、そういうことを想像するとなんか楽しくなるっていうか……。


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J この曲は確か、アニメーション映画『ドラえもん のび太の魔界大冒険』の挿入歌でしたっけ? 

S キョンキョンのヴァージョンは「風のマジカル」っていうタイトルで、湯川れい子さんの作詞なんですけど、まだキョンキョンが本当に普通のアイドルだった頃の曲ですよね。初期のキョンキョンの曲なので、ソロ・アーティストになっていろいろいろんなジャンルに挑戦していく前の初期の段階ですね。『あまちゃん』でいうと若春子さんの時代っていうか(笑)。

J 颯洋さん、『あまちゃん』好きですもんね(笑)。こないだも、岩手県の久慈市まで行ったんでしょ(笑)? そこまで熱心なのも大したもんだなっていう……。それじゃ、曲紹介お願いします!

S NOBODYで、「BABY YOU'RE MINE」。♪〜〜曲が流れる〜〜

J リリースとしては3枚目になるんですけど、今夜紹介している『LIVE ワン!』は1983年12月22日、日本青年館でのライブの模様を収録したライヴ・レコードです。今聴いてもらったのは、「BABY YOU'RE MINE」でした!

思い出話をしますと、あのタイミングでNOBODYが日本青年館でライヴをやるっていうのは、スピード感としては、10代の僕にはちょうど良かったんですよ。何を言いたかったかっていうと、NOBODYのデビューが82年の6月なんですよね。だから、ライヴハウスから活動をスタートして、もう1年半後にはホールに行ってるんですよ。よく覚えているのは、ファーストとセカンド・アルバムの「POP GEAR」って、聴いた印象が結構違っていて。「POP GEAR」ではすごいメジャー感が出ていて、当時中学2年生だった僕は、生意気にも、「このバンドは売れるぞ!」と思ってたんですよね(笑)。

S なるほど!

J (ライヴハウスツアーを経て、予想通りに)まんまと日本青年館でのホール・ライヴ実現ってなったんで、「な〜!」っていう感じでちょっと鼻高々だった思い出があるんですよね。

S 「俺の予想通り、ブレイクしたぜ!」みたいな……。

J 大人になるとね、(どんなスターでも)ブレイクまでの道のりって結構あるから、「いやいや、もうちょっと時間がかかるよ」とかって(リアルな)判断もできますけど、当時は子供なんで、このスピード感っていうのはもう、「そうそうそう!」って感じで(笑)。今考えると、すごいことですよね。(デビューから)わずか1年半で、ホール・ライヴができるっていうのはすごいなと思いますね。当時のライヴではベースは松田良さんっていう方で。ライヴハウス時代のNOBODYのサポートメンバーは、松田良さんがベースで、ドラムは矢沢ファミリーのマーちゃん(大森正治さん)だったんですよね。それは兄貴から聞いて知ってました。松田良さんの起用はなぜなんだろう?と思って、中学時代に調べたことがあって。どうやら、相沢さんが永ちゃんのバンドに参加する前に、NORAっていうバンドをやっていて、松田さんはそのバンドで一緒だったベーシストなんですよね。それでお二人が繋がってんだっていうのは、割と最近になって知ったんですけど。あのね、後から松田良さんのシングルとか買いましたよ。タイトルは、「バラードが聴こえない」だったような気がする。

S 松田さんは歌える方ですよね。このライヴ・アルバムではコーラスもやってるんで。

J そうそうそうそうそう。松田良さんは、コーラスで歌う際は高いパート担当だったような気がする。急に思い出したもんですから、言いたくなっちゃったっていうのがありました(笑)。颯洋さんとNOBODY特集をアルバムの1枚目から全部やろうっていうふうに話をしたのは、やっぱり僕も「強烈な」と思ってるんですが、お互いが矢沢永吉さんのファンで、颯洋さんが僕よりももっともっとすごいのは、永ちゃんに作詞をしてるっていう実績があって。

S はい。ご縁がありまして、ご息女(矢沢洋子さん)にも作詞してますね。

J 洋子さんのアルバムに、相沢さんも参加してるんでしたっけ? 

S 洋子さんのアルバムで自分がコラボしたのは、(2004年以降、矢沢永吉サポートバンドのリーダーを務めた)トシ・ヤナギさんですね。自分が参加したのと別のアルバムで、NOBODYが洋子さんに1曲、「SUGAR! SUGAR!! SUGAR!!!」って曲を書いてますね。

J なるほど。そんな風に颯洋さんもNOBODYとはニアミスしてて、僕も木原さんと2度ほどお会いして番組の収録もさせてもらってみたいなことがありまして。そんな経緯でNOBODYの名曲を紹介してるっていう感じではあるんですが、次に紹介する曲は、「TOO FAR AWAY」ということで。

 

MCも要チェックの名曲「TOO FAR AWAY」


MARTINI HOUR(限定盤) / 山本達彦


S これはオリジナルっていうか、よく知られたヴァージョンは山本達彦さんっていうアーティストが歌っていて、あえてジャンル分けするとシティポップみたいなカテゴリーの楽曲に仕上がっていて。そういうおしゃれな感じのポップスをやってる方なんですけど、NOBODYがバンド・ヴァージョンでセルフカヴァーしてる「TOO FAR AWAY」もなかなか味わいがあって(選曲しました)。やっぱり、相沢さんが歌ってるのでメインで曲作りされてると思うんですけど、こういうちょっと寂寥感がある曲調って言うと、ちょっと難しい表現ですけど、寂しさとか空しさとか、そういうものが漂ってるような曲を書いたら相沢さんは絶品だなって思いましたね。さらに言うと、相沢さんの音楽的なルーツには大いに興味があって、「NOBODYだから、ビートルズ好きなんでしょ?」って、パブリック・イメージとしてみんなもそう思ってますけど、きっとすごく音楽的に深い方なんじゃない方だなって思うんですよね。残念ながら、音楽雑誌とかで相沢さんのルーツを掘り下げるようなインタビューとか見たことがないのですけど、好きなミュージシャンの名前を挙げてくださいって言ったら、作曲家100人ぐらリストアップされるんじゃないのっていうぐらい、メロディー・センスとかコードの使い方がすごく奥が深いというか。この曲にしても、そういう相沢さんのコンポーザーとしての魅力が詰まっている曲かなと思いますね。ちなみに、この曲の演奏前のMCで、相沢さんが渋いことを仰っていて。「昔は一緒に演奏していたミュージシャン仲間の中には音楽から離れてしまったた人もいるけど、たとえ短期間でも一緒に音楽を演奏して夢を追いかけた絆は永遠だ」みたいな内容で、それがそのまま歌詞になってる訳ではないんですけど、そういうコンポーザーの気持ちを頭に置いて聴くと、なかなか味わいがある良い曲だなと思いますね。

J 僕が相沢さんのMCを聴いた時に思ったことっていうのは、70年代後半は永ちゃんのハウスバンドみたいな存在の「矢沢ファミリー」があったじゃないですか? ところが、矢沢ファミリーは永ちゃんの渡米と同時に解散になって、アメリカに行った永ちゃんは(ドゥービー・ブラザーズ周辺のミュージシャンと交流を深めて)『YAZAWA』だとか『PM9』とかあっち方面のアルバムをガーンと出して。一方、NOBODYの2人はこういったライヴを日本青年館なりでやっていう状況があって(結果として、以降は袂を分つことに)。でも、僕は矢沢ファミリーのサウンドとかグルーヴが好きだったんですよ。もちろんドゥービーのメンバーたちが作るサウンドも洗練されて良かったんですけど、矢沢ファミリーのアーシーな感じというか、あのノリが好きで、それがもう2度と復活しないのかなと思ってたんですよね。だから、相沢さんのこのMC聞いて、もしかしてそういうことを言ってんのかな?っていう思いで、勝手に想像してましたね。実際は全然違うかもしれないですけど、当時はそんなことも頭をよぎりましたね。じゃ、曲紹介を。

S はい。NOBODYで、「TOO FAR AWAY」。♪〜〜曲が流れる〜〜

J お届けしているNOBODY特集、今夜は3枚目にリリースした『LIVE ワン!』の名曲をご紹介しておりますが、今聴いてもらったのが「TOO FAR AWAY」でした。この曲は、山本達彦さんの『MARTINI HOUR(マティーニ・アワー)』っていうアルバムに入ってるんですよ。このアルバム、83年の6月21日にリリースになってるんで、(外注の仕事として)もう納品して(そこそこ時間が経っているので)自分たちなりの歌い方を確立してライブで歌ってるんだと思うんですよね。実はNOBODYが楽曲提供したアーティストのアルバムを買ったことも結構あって、吉川晃司さんもNOBODYが参加してる時期は全部買ってたりしてるんですよ。でね、この『MARTINI HOUR』だったかなぁ?その前の『LE PLEIN SOLEIL/太陽がいっぱい』っていうアルバムは、確か、ギターも全面的にNOBODYがやってるんですよ。

S なかなか贅沢ですよね。

J さらに、その前のアルバム『I LOVE YOU SO』は、プロデュースもNOBODYだったはず。〈♪(『NOBODY SONGS』収録の「DIAL 24-4569」の一節を歌う〉って曲、あるじゃないですか? あの曲も別アレンジで入ってるんです。それに続く『太陽がいっぱい』はすごく明るいアルバムで、NOBODYファンの方にもおすすめですね。でね、『太陽がいっぱい』に収録された「パシフィック・ブルー」っていう曲があるんですよ。明らかに相沢さんじゃないかと思える、ロングトーンの泣けるギター・ソロを弾いてるんですよね。このアルバムに限らず、NOBODYが関わってる山本達彦さんのこの時期のアルバムは結構良いんですよ。

S 聴いてみます!

I LOVE YOU SO(限定盤) / 山本達彦

LE PLEIN SOLEIL/太陽がいっぱい(限定盤) / 山本達彦

J この3枚、特に、『I LOVE YOU SO』『LE PLEIN SOLEIL/太陽がいっぱい』かな。サブスクで聴けると思うんで、ぜひ! もうね、颯洋さんが聴けばね、「あぁ、この曲、このフレーズはNOBODYだ」っていうのが分かると思います。『マティーニ・アワー』は「TOO FAR AWAY」は収録されてますけど、編曲や演奏では参加していなくて、確か、楽曲提供してるだけだったような気がします。で、NOBODYの提供曲といえば、1番最初と言われてる曲がハウンドドッグの「浮気なパレットキャット」ですよね。

S ヒットしましたからね、これは。

 

NOBODYが歌詞まで手がけたレアな提供曲って?


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J 厳密に言うと、その前にもう1曲、(楽曲提供の実績が)あったっぽいんですよね、確か。だけど一応、まずはソングライター・チームとして活動を始めるって言ったときに、HOUND DOGから依頼が来て、「浮気なパレット・キャット」を作ったなんてことを聞いた覚えがありますけどね。

S この曲、なんかサクッと作った印象なのに、超名曲だなっていう……。

J 本当ですよね。リリース当時、「ロカビリーでカッコいいな!」と思ったんだよな。

S これ、歌詞もNOBODYなんで。

J そうでしたっけ?

S やっぱり、こういうロックンロールやロカビリーだと、お二人の得意ジャンルなんで(歌詞と曲のコンビネーションも素晴らしい)。やっぱり、アイドルのキョンキョンの曲の歌詞を作詞してよって言われても、やっぱり、中年男性がアイドルポップスの歌詞を書くにはテクニックが要るので(志向がまったく異なるアイドル系のシンガーへの提供曲は、作曲のみ担当ということが多い)。

J この曲の歌詞でさすがだなぁと思うのは、〈♪おいら待ち伏せ 気分はHOUND DOG〉ってフレーズがあったりとか〈♪ちょっとやそっとじゃNOBODY〉って(バンド名入りの歌詞で)歌ってたりして、そのあたりが絶妙だなと。この曲のライヴ・ヴァージョンで好きなところは、2コーラス目だったか、〈♪おいら待ち伏せ 気分はHOUND DOG〉のところを、多分木原さんだと思うんですけど、1オクターブ下のユニゾンでコーラスパートを歌ってるんすよね。あの野太い感じの声は木原さんだと思うけどな。

S  やっぱ、(「GOIN' HOME」のブリッジのラストを口ずさんで)〈♪ I'LL NEVER MAKE YOU WORRY 'BOUT ME NO MORE NO MORE……〉ですよね!あの声!

J 木原さんだと思うんだけどなぁ。あれがカッコよくて!こういうテンポの速い曲で、(主旋律の)下(のパート)歌うってかっこいいと思ったんですよね。じゃ、行きますか。曲紹介をお願いします!

♪「浮気なパレットキャット」NOBODY! ♪〜〜曲が流れる〜〜

J いやぁ、イイですね! 

S イイっすね!

J カッコいい!この後、『LIVE ワン!』では「MAD DREAMER」に行って、「WELCOME TO MY PARTY」に行くじゃないですか? その「WELCOME TO MY PARTY」が、さっきご紹介した山本達彦さんのアルバム『LE PLEIN SOLEIL/太陽がいっぱい』に入ってるんですよ。この曲に関しては、山本達彦さんのヴァージョンもNOBODYのヴァージョンもアレンジはほぼ同じ。(このアレンジが)気に入ってたんだと思いますよ、おそらく。

S こんなロックンロールなんですか、山本さんヴァージョンも?

J そうです! だから(この曲で)山本達彦さんのことが好きになりましたもん。こんな曲もやるんだっていう感じで。

S 山本さんと言えば、しっとりとしたバラードが多いイメージですよね。

J そうでしょ? 結構ね『LE PLEIN SOLEIL/太陽がいっぱい』はね、そういうカーンとした(明るい感じに突き抜けた感じの)曲が多いんですよ。わりと今でも、時々聴きますね。次に颯洋さんが持ってきたのは、これはボーナス・トラックですか?

S そうですね。今回のリイシュー盤で初めて聴けたお宝トラックですね。

 

ライヴ・ヴァージョンはさらにロッキンな名曲とは?

J 「IT'S ONLY YOU」ですが、ライナーを読むと、元々これはオリジナルの『LIVE ワン!』には入ってなくて、VHSか何かに残ってたんですよね、確かね。

S 何か、この曲の音源は、発掘された的なことが書いてあったような気がしますけどね。

J それを多分、リマスターなりして、ここまで聴けるように音質を上げたんだみたいなことが書いてあったような気がするんですけど……。

S この曲は、自分的にはちょっとなんか初期のストーンズみたいな印象があって、今回、ご紹介したいなと思ったんですけど。と言うのは、ストーンズの初期のアルバム数枚って、カヴァー曲がすごい多くて、原曲はブルーズだったり、リズムアンドブルーズだったりするんですけど、大体の曲は原曲よりもテンポを上げて演奏していて。多分、「オリジナル曲と同じテンポで勝負したら本物には勝てないから、ちょっとテンポを上げて、自分たちなりのノリの良さを出して勝負しようぜ」みたいな、そんな考えだったのかなって想像してまして。要は、「IT'S ONLY YOU」はNOBODYのオリジナルですけど、若い頃のストーンズみたいなノリの良さと言うか、やんちゃな感じがイイなと。

J 僕が覚えてるのは、マディ・ウォーターズの〈♪I JUST WANT TO MAKE LOVE TO YOU〜〉なんかも……。

S あれも、テンポめっちゃ上げてますね!

J あれもカッコいいっすよね!あと考えられるのは、「自分たちとしては、やっぱ、この(スローな)テンポではかったるくてやってらんねぇよ!」っつうのあったかもしんないっすよ、若気の至りで。「テンポ上げて速くやろうぜ、ぶっ飛ばそうぜ!」って感じで。

S いや多分ね、マディに憧れてはいるけど、「ちょっと今の俺らだとこのテンポじゃ、マディに敵わなねぇよ」みたいな……。

J そこを考えてましたかね?

S 想像するに、そういう感じじゃないすかね。

J 確かにね、言われてみれば、この「IT'S ONLY YOU」には、そういうテイストがあって。あのファースト・アルバムに入ってるレコーディング・ヴァージョンは、ギターリフの〈♪チャンラ、チャンラ〜〉ていうフレーズが何回も出てくる曲じゃないですか?俺ね、アルバム買った当時は、あんまり熱心に聴かずに飛ばす曲だったんですよ(笑)。「なんか単調だなぁ」っていう感じもあって。

S 自分の場合、木原さんのギターとちょっとちっこい歌い方が好きなんで(レコーディング・ヴァージョンも好きだった)。

J だけど、ライヴ盤を聴いた時に、もう〈♪ガッカーガッカーガッカー〉っていう(バッキングのフレーズが「うわ、カッコいい!」と思ったもん。

S このリフはあちこちで聴いた覚えがあって、それこそ若きストーンズと同時代のバンドであったり、もっと昔のR&Bとかで。だから何ていうか、(バッキングの定番フレーズかと)。

J それこそ、永ちゃんの『ゴールドラッシュ』に入ってる「ラッキーマン」とか(邦楽のロックンロールナンバーでも聴けるかと)。

あれも〈♪(シャッフルのリズムで口ずさんで)ジャカジャカジャカジャカ、チャージャー・・・〉っていういわゆるロックンロールのね……。

S 定番の(バッキングの)フレーズっていうか……。

J スリーコードのチャック・ベリーみたいな曲では定番のバッキングの……。

S (リズムギターで左手の)小指を動かすアレですよね。

J じゃ、行きましょうか(笑)。曲紹介、お願いします。

S NOBODYで、「IT'S ONLY YOU」 ♪〜〜曲が流れる〜〜

J はい、「IT'S ONLY YOU」を聴いてもらいました。これはボーナス・トラックに入っているライヴ・ヴァージョンですけども、カッコいいですね!

S そうっすね、この曲は、今回このリイシュー盤を買って、初めて聴いたヴァージョンだったんで、「聴いてびっくり玉手箱」じゃないけど、得した気分ですよね。

J いや、かなり(ツボに)来ましたね、僕も(笑)! で、(ライヴ当日演奏された曲で)唯一アルバムに入らなかったのが、「マージー・ビートメドレー」なんですよね、確かね。それ以外は一応全曲網羅してるはず、確か……。だったような気がする。昔話をすると、『LIVE ワン!』が出たときに、やっぱり、ファーストの曲が少なかったんで、僕としては、「初期の曲は演ってないのかな?もう捨てちゃったのかな?」とかって当時思ってたんで、「そんな訳はないわな」っていう気持ちもありつつ、やっと今回のリイシュー企画で、このアルバムの未収録だった曲にまで再び陽の目が当たって、嬉しい限りではあるんですけども。次に紹介する曲は「GOIN' HOME」。これも、ボーナストラックですね。

S そうですね。これは当日のセットリストを見ると、1曲目が「BACK TO '64」で2曲目が「FOR ONLY YOU」で、2曲とも『POP GEAR』からじゃないですか? 3曲目の「IT'S ONLY YOU」、4曲目の「OH, PRETTY BABY」、5曲目が「GOIN' HOME」なので、3曲目から5曲目までファーストの曲が3曲並ぶんですけど、その中の最後の曲がこの「GOIN' HOME」なんですよね。やっぱり、ここで選ばれた3曲がファースト・アルバムの中でも一押しだったんじゃないかなっていう気はしますよね。

J あと、もう、(気分を)飛ばすにはもってこいのセットリストですよね。特に、そのあたりの序盤はね。でね、NOBODYのギタープレイの話をすると、として今の「IT'S ONLY YOU」もそうだし、これから流れる「GOIN' HOME」もそうなんですけど、さっき話題に出た、チャック・ベリー・スタイルの小指で動かしてリズムを刻む、〈♪チャージャチャッチャ、ジャジャジャジャチャッチャ〜〉っていうのはあのバッキングあるじゃないすか? (ライヴで)あれをがっつりやってるギタリストって、他に見当たらないというか、日本人のギタリストであのスタイルのバッキングをライヴで弾いてる人って、NOBODY以外でやってるのって誰かいます? 

S そもそも、こういうロックンロールなスリー・コードの曲調自体が日本の音楽シーンにあんまりないですから。それこそ、メジャーのシーンでは。

J  なんかね、それがね、矢沢ファミリー時代も「ウイスキーコーク」のライヴ・ヴァージョンとかって、あのバッキングのフレーズから始まるじゃないですか? 俺が子供の時に、ロックンロールと言えば、あのフレーズこそがロックンロールだと思ったんですよ!

S 正しいんじゃないんですか、それは。

J だけど割と、(NOBODYより下の世代で)後から出てきたギタリストとかで、「俺もちょっとやってみようとか」って、その雰囲気を真似てる人ってあんまりいないような気がするなっていう……。

S あれって、バッキングの基礎の基礎みたいな感じなんで、ブルースの。

J これね、ぜひ誰かにやってほしいんだけどなぁ。一瞬だけでも、(そんなバンドが)出てきたら、「お!カッコいいな!」と思っちゃうんだけどな、俺(笑)。じゃ、曲紹介お願いします!

S はい、NOBODYで「GOIN' HOME」! ♪〜〜曲が流れる〜〜

(エンディングのBGMとして、「HEY MISS LONLEY」が流れる)

♪今夜の「ロッキンスター」は作詞家の吉里颯洋さんをお迎えして、NOBODY特集第3弾として、『LIVE ワン!』を紹介いたしました。いかがだったでしょうか?颯洋さん、次は、12月ですか(笑)?

S そうですね。

 

次回は『NIGHT WALKER』特集!

J 次はいよいよアレですよね? 『NIGHT WALKER』! このアルバムは、結構売れたアルバムじゃないかなぁ? (バンドとして)ブレイクしたのは、このアルバムからじゃないですかね? 僕はそういう風に認識してますけどね。

S でも、NOBODYの名前が世に名前が広がったのは、『POP GEAR』の頃なんじゃないですか? 要は、提供したアン・ルイスさんの曲とかがヒットしだして……。 

J (NOBODYの名前が世間に知れ渡ったのは)要は、この辺りだと思うんですよ。

S 『LIVE ワン!』と『NIGHT WALKER』の間ぐらいっていうか。はい。

J やっぱり、『NIGHT WALKER』は名曲揃いですから、次回のNOBODY特集をぜひお楽しみにお待ちください!っていうことで、1時間お聴きいただき、ありがとうございました! お相手は、佐々木健二でございました。来週もまた、かっちょいい曲持ってきますんでね、ひとつよろしくお願いします。で、颯洋さん、12月のNOBODY特集でも、よろしくお願いします!

S はい。お願いします!

J それでは皆さん、また来週!

※『NIGHT WALKER』特集は、2023年12月13日(水)にオンエア済み。当ブログにて、追ってテキストを公開いたします。

「ロッキンスター」オンエア・スケジュール

※リスラジほか、いくつかのプラットフォームのサイト経由でインターネットおよび、スマホアプリで聴くことができます。詳細は、各放送局のサイトにてご確認ください。

※次回のNOBODY特集のオンエアにつきましては、改めて告知いたします。

▼本放送

・日 時 : 毎週水曜日 18:00〜19:00

・放送局 : かつしかFM

 

▼再放送

以下のスケジュールにて、本放送の翌週より、順次再放送となります。

※災害時などに放送スケジュールが変更になる場合もあります。タイムテーブルについての詳細は各局のオフィシャルサイトをご確認ください。

 

【月曜日】

16:00~17:00 ラジオモンスター(山形県山形市)

19:00~20:00 ラジオふらの(北海道富良野市)

21:00~22:00 エフエムNCVおきたまGO! (山形県米沢市)

21:00~22:00 FMビーチステーション(和歌山県白浜町)

22:00〜23:00 かつしかFM(東京都葛飾区)

22:00~23:00 FMとまこまい(北海道苫小牧市)

23:00~24:00 / (再)27:00~28:00 FMアジュール(青森県むつ市) 

 

【火曜日】   

15:00~16:00 / (再)27:00~28:00 FM桐生(群馬県桐生市)

21:00~22:00 コーストFM(静岡県沼津市) 

24:00~25:00 FMチャッピー(埼玉県入間市) 

 

【水曜日】

09:00~10:00 エフエムいわぬま(宮城県岩沼市)

10:00~11:00 なとらじ801(宮城県名取市)

18:00~19:00 FMふじやま(山梨県富士河口湖町)

19:00~20:00 ベイウェーブ(宮城県塩釜市)

20:00~21:00 FMいわき(福島県いわき市)

 

【木曜日】

14:00~15:00 ラヂオ気仙沼(宮城県気仙沼市) 

19:00~20:00 エフエムゆーとぴあ(秋田県湯沢市)

22:00~23:00 FMびゅー(北海道室蘭市)

22:00~23:00 wi-radio(北海道伊達市)

23:00~24:00 HitsFM(岐阜県高山市) 

 

【金曜日】

14:00~15:00 レインボーFM(長崎県諫早市)

21:00~22:00 Airてっし(北海道名寄市)

22:00~23:00 ラジオカロスサッポロ(北海道札幌市)

 

【土曜日】

09:00~10:00 FMはな(北海道中標津市)

18:00~19:00 エフエム萩(山口県萩市)

21:00~22:00 FMジャングル(兵庫県豊岡市)

21:00~22:00 喜多方シティエフエム(福島県喜多方市)

 

【日曜日】

09:00~10:00 FMはな(北海道中標津市)

15:00~16:00 あいらびゅーFM(鹿児島県姶良市)

22:00~23:00 Airてっし(北海道名寄市)

 

※さらなる詳細は、企画制作を担当している株式会社ジェイクランプのブログをご参照ください。

 

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