吉里颯洋の年甲斐ない日記

作詞家・吉里颯洋のブログ

【ほぼ全文掲載】「ロッキンスター」NOBODY特集_#07 『GOT A FEELING』

『ロッキンスター』と、俺とNOBODY

かつしかFMをキーステーションに全国28局ネットで放送されているラジオ番組「ロッキンスター」は、DJ佐々木健二さんのマニアックな選曲で、時代を超えたロックの名曲たちを紹介していく音楽プログラム。 タワーレコードでの『NOBODYレコードデビュー40周年リイシュー企画』に同期するように、同番組ではNOBODY特集をほぼ隔月でオンエアしてきました。某SNSに今でも存在するNOBODY関連のコミュニティで、私こと吉里颯洋とDJの佐々木健二さんが知り合ったご縁もあり、光栄なことに初回からゲストとしてお招きいただいています。本特集のコンセプトは、「我々共通のルーツであるNOBODYのアルバム1枚にスポットを当てて、その名曲の魅力をファン目線であれこれ語り合う」というもの。
今回は、2024年7月17日(水)、NOBODY6枚目のスタジオアルバム『GOT A FEELING』をテーマにオンエアされたトークをテキストにしてお届けします。トークの内容は熱心なファン2名がNOBODY愛をぶちまけているだけですが(笑)、「面白い!」と思ってくださったNOBODYファンの方がいたら、今後のオンエアをお楽しみいただけたら幸いです!
※以降、『J:佐々木健二さん / S:吉里颯洋』と省略して記載します。

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J 皆さま、ご機嫌いかがでしょうか? 佐々木健二です!今週はゲストが来ております。作詞家の吉里颯洋さんです!
S こんばんは。吉里颯洋です。よろしくお願いします!
J 颯洋さんが来たということは、今週のテーマはNOBODYですね。ところで、颯洋さんは西武ファンでしたっけ?
S はい。埼玉西武ライオンズを応援し続けて、ウン10年ですね(笑)。
J 今日たまたまインタビューした方がライオンズファンで「負け続けても応援する」とおっしゃってまして、「今季は4回現地観戦に行ってるんですけど、4回とも負けてる」というお話でした。ライオンズファンとしては、今季の戦いぶりはどうなんですか?
S 今年(2024年)はぶっちぎりで最下位なんですけど、来年からはもうこれより下に落ちることはないので、最下位から這い上がっていくだけという前向きな気持ちで応援してますね。実は今年、5回現地観戦して3勝2敗なんで(笑)。
J なるほど(笑)。ちなみに僕が小学生の時に、なぜか知らないけど、岩手県の雫石の実家に太平洋クラブライオンズのテーマソングのシングル盤があったんですよ。どんな曲だったか全然思い出せないんですけど、それがすごく好きで。もう何回も聞いてた覚えがある。当時の岩手県では、プロ野球中継と言えば巨人軍の試合しかやらないんですよ。なので、「テレビで見たことがないこの球団は何なんだろう?でもいい曲だなぁ」とずっと疑問に思いながら、聴いてた覚えありますけど(笑)。って訳で、前置きが長くなりましたが、本編に行きましょうかね。
 ロッキンスターのお時間ですよ〜〜〜〜! 〜 テーマ曲流れる〜 

「NOBODYに駄曲なし」説、開陳!

J 改めまして、NOBODYの名盤を今日は紹介するということで、お招きしたのは吉里颯洋さんでございます!
S はい、よろしくお願いします。
J 今日はですね、1988年1月25日にリリースされた6枚目のスタジオアルバム『GOT A FEELING』を紹介しようと思ってるんですけども、最初の4枚はTDKコアから出していて、『GOT A FEELING』の前の『Restless Heart』から東芝EMIに移ってるんですよね。最初に、ある持論をお話したいんですが、以前にも言ったような気がするんですけど、「NOBODYのアルバム兄弟説」という仮説がありまして……。「最初に出したアルバムと、その次に出したアルバムは兄弟である」っていう持論を薄々と感じてたんですよ、実は。薄々のまんま、前回のオンエアで話してたんです。だけど、NOBODYの魅力を丁寧に紹介していくために続けてきた特集が『GOT A FEELING』まで来た時に、もう(ある程度、持論は的を得ていると)確信しました。
やっぱり、TDKコアの在籍時にリリースされたファーストアルバムの『NOBODY』とセカンドアルバムの『POP GEAR』は、ルーツミュージックのマージービートのイメージを何とか表現したいっていうコンセプトだったのかなと。そして、「デジタル➕ギターサウンド」というスタイルでまとめたのが、3目の『NIGHT WALKER』と次のアルバム『From A Window』。この2枚の間にミニアルバムの『モノクロームの夏』のリリースもありましたけど、この2枚のコンセプトを深読みすると「60年代、70年代テイストでオリジナルを作ったらどうなるんだろう?」ってトライで、サウンドはデジタルなテイストも採り入れて仕上げていく。で、いよいよこの『Restless Heart』『GOT A FEELING』が次に来ますが、この2枚に関しては「ライヴバンドとして、自分たちの等身大の姿に回帰しようじゃないか」というコンセプトなのではないかと。この2枚、2枚、2枚でペアにすると、全部で3段階あるじゃないですか。人間に例えて言うなら、小中高と進学して、ここで進路が決まったんじゃないかっていう気がしていて(笑)。
S 大学進学するとか就職するとか、あるいは浪人するとか(笑)。
J 『GOT A FEELING』を聴いてて、やっぱり初期の頃のマージービートの頃のイメージもあるし、いわゆる日本のリスナー向けというか、そこに受けそうな感じの曲もあるし、それでいてとってもビートの効いたライヴバンドならではみたいな楽曲もあるんで、そういう(多彩な魅力があるアルバムだという)感じがしてるんですけども、颯洋さんの印象はどうでしょう?
S 佐々木さんはずっと継続されてきた「ロッキンスター」のような番組で1回の番組でアルバム1枚まるごと紹介されてきたんで、1枚のアルバムを1つの単位で捉えて、俯瞰してみる視点があると思うんですけど、どうしても自分は楽曲ごとの歌詞とか曲とかを分析するような傾向があって。あるいはアルバムの中での楽曲ごとのキャラの立ち具合とかを見るタイプなんで、ファーストから『GOT A FEELING』までNOBODYの楽曲を聴き直して思ったのは、木原さんと相沢さんそれぞれが得意としてる曲調のパターンがあることに気づいたんですね。それこそ雑誌か新聞の連載小説みたいに、毎回のように相沢さんは失恋の歌を歌うし、木原さんは社会風刺テイストのロックを歌うっていうのが面白くて。「これ、どこまで続くんだろう?」と思いながらNOBODYを聴いてるんですけど、改めてこうやって聴き直すと、『GOT A FEELING』単体の印象ではありませんが、「1曲たりとも、NOBODYに駄曲はない」というのが自分なりの結論ですね。
J さて、当番組でNOBODYの全アルバム紹介にあたってピックアップ、オンエアしてるのは、タワーレコードからNOBODYレコードデビュー40周年記念の企画でリイシューがされているシリーズからでして、『GOT A FEELING』はその第3弾として、2023年の4月26日にリミックス盤として再び我々の前に現れたっていうものなんですけどもね。今夜の1曲目は、やっぱ「GOT A FEELING」からかけてもいいんじゃないすかね?
S そうですね。これはサウンドもすごくカッコいいんで、ライヴで演奏するところをイメージしながら、レコーディングもやったんじゃないかなっていう印象ですね。
J ドラムを叩いてるのは、おそらく青山純さんだと思うんですけど……。
S 歌詞カードを見ても、曲ごとのミュージシャンのクレジットがないので、何曲目を誰が演ってるかってのかが分からないですよね。
J でもね、確か、相沢さんか木原さんのどっちかが(インタビューなどで)「青山純のドラムが・・・」とか言ってたような気がするんですよ。
S 渡嘉敷祐一さんかもしれないですが、でも曲調がロックだから青山純さんじゃないかなみたいな予想はできますね。
J オリジナル盤ではあんまり聴こえてこなかった隠し味っぽい音もちゃんと聴こえてて、ギターもかなり太い音になってますから、総じてライヴっぽいサウンドのアルバムだなと思いますね。
S このアルバムはサブスクでも昔の音源は聴けるんですけど、やっぱリミックスされたリイシュー盤を聞いてみると、いい感じにサウンドがアップグレードされてるんで、オリジナル盤を持ってる方も改めてリイシュー盤も楽しんでいただくといいのかなと思いますね。
J まずは曲紹介を紹介お願いします!
S NOBODYで、「GOT A FEELING」、♪〜〜曲が流れる〜〜


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J 2023年4月26日、タワーレコードからNOBODYレコードデビュー40周年記念第3弾として再リリースになりました『GOT A FEELING』を紹介してます。これ、オリジナルは1986年1月25日にリリースとなっております。 先ほど「小中高と進んで、いよいよ進路が決定」みたいな例え話をしましたけど、いわゆる「NOBODY前期の集大成」みたいなイメージをこのアルバムに持ってるんですよ。ファーストアルバムにちょっと通じるものがあって、1曲目が久しぶりのアップテンポなんですよ。NOBODYのファーストも、1曲目がアップテンポの「OH, PRETTY BABY」ですよね。だけど、以降の『POP GEAR』『NIGHT WALKER』『From A Window』『RESTLESS HEART』だと、「チャイナドールと踊れない」みたいな、割とミディアムテンポの曲が多いような印象があって。このアルバムだと、2曲目に「COOL IT DOWN」、その次に「HOT LINE」が続く畳み掛けるような感じも、ファーストの「OH, PRETTY BABY」「CONNECTION」「TELL YOUR MAMA」と続く冒頭の3曲に似た勢いを感じますし、ファーストのレコーディングでは実現できなかったバンドサウンドを今の自分たちの経験値で『GOT A FEELING』でやってるように思えるんですよね。
 次に紹介する曲は、これ僕も颯洋さんも「なかなかいいじゃん!」っていう感じで選んだのが「CHE SARÀ」。この曲は相沢さんがリードヴォーカルをしてますが、どんな印象でしたか?
S 曲の第一印象としてポップなメロディーが素晴らしくて。構成的には「A-B-A-B」という洋楽スタイルの曲なんですけど、さすがの相沢さんの作詞テクニックで、少ない文字数で都会の街角で頑張ってる若者をリアルに描写してるんですよね。上から目線で若者たちに「頑張れ頑張れ」って言うんじゃなくて、ダンサー、ウェイトレスとか、いろんなタイプの若者たちがそれぞれ自分の夢を追いかけつつ、くじけそうになりながらも何とかやってるみたいなストリート感のあるストーリーが秀逸だなと感じましたね。相沢さんご自身が北海道から関東に出てきた方なので、夢を追う若者たちをちょっと愛情を持って俯瞰して描いているようで、そこがすごく気に入ってるんですけど。
J 「CHE SARÀ」は、すべての収録曲の中でたぶんギターが一番少ない曲じゃないかなっていう印象がありまして。オリジナル盤を聴くと、左スピーカーからバンジョーみたいな音が聞こえるんですよ。♪ツッチャン、ツックチャン、ツッチャン、ツックチャンって(シャッフルのリズムを刻むバッキングのフレーズ)が。でも、今回のリミックス盤を聴くと、そのフレーズは両サイドから聴こえていて、「やっぱり、このフレーズはバンジョーじゃなくアコギかな?」っていう感じもあって……。NOBODYのオフィシャルサイトか何かで見たのか思い出せないんですが、とあるライヴでね、「CHE SARÀ」を演ってるんですよ。 2人とも当然ライヴなんで、(他の楽器ではなく)エレキギターで、♪ズンチャ、ズックチャンって感じで弾いていて。ライヴバンドだからと言ってギターを弾きまくるのではなく、過不足ないバッキングにとどめるところが、なかなか引きの美学があって素晴らしいなと思った次第ですけども、そのライヴではギターソロは相沢さんが弾いてましたね。
ちなみに、このアルバムが出た1988年は、永ちゃんは7月21日に『共犯者』を出してるんですよね。奇しくもこの『共犯者』も『GOT A FEELING』と同じく、リリースは東芝EMI(現ユニバーサルミュージック)なんですよ。
S 当時は、かつては日本でのザ・ビートルズの売り出しに貢献された石坂敬一さんというビッグな方がレーベルのトップとして辣腕を振るってましたね。その成果もあって、BOØWYとかRCサクセションとか、石坂さんの声がけで当時の日本のロックのベスト・メンバーを東芝EMIに集めたみたいなイメージがありますね。
J ミック・ジャガーの来日もこの年でしたね。BOØWYが解散したのもRCサクセションの『COVERS』が発売中止になったのもこの年ですね。ちょうどね、日本の音楽業界もいろいろ激動の時代を迎えていた中で「CHE SARÀ」っていうのはなかなかいいタイトルだなと私は考えてるんですけど、曲紹介をお願いします。
S はい。NOBODYで「CHE SARÀ」。 ♪〜〜曲が流れる〜〜
J 今夜の『ロッキンスター』は作詞家の吉里颯洋さんをお迎えして、NOBODYの6枚目のスタジオ・アルバム『GOT A FEELING』を紹介してます。オリジナル盤は1988年1月25日リリース、そして今夜、ご紹介してるのは2023年の4月26日にNOBODYのレコードデビュー40周年記念としてタワーレコード限定でリリースされたリミックス盤ですね。先ほど聴いてもらったのは、「CHE SARÀ」でした!

失恋魔術師が紡ぐ「あのソング」の魅力

J 次に紹介する曲は「SUMMER'S GONE」。この曲の選曲理由はいかがでしょうか?
S この曲は相沢さんが歌ってらっしゃるのでご本人が作ってると思うんですけど、さっきちょっと言いかけたんですが、相沢さんは『NIGHT WALKER』では「LADY」を歌ってて、『From A Window』では「FARAWAY SEPTEMBER」、この1枚前の『RESTLESS HEART』では「DA・DA・DA I LOVE YOU」を歌ってらっしゃるんですけど、実はいずれも失恋の歌なんですよね。しかも、どれもメロディーの美しさが絶品でリリカルで素晴らしい曲なんですけど、こうして並べてみると、一貫して相沢さんはずっと失恋をテーマに歌ってらして、「失恋魔術師」と勝手に名前を付けてるんですけど、どれもこれも本当に名曲なのが素晴らしいなと……。我々はこうしてNOBODYの楽曲としてバンドヴァージョンで聴いてますけど、「ジャズにアレンジしてもボサノバにアレンジしても、なんか良いんじゃないかな?」と思わせるほど、普遍的なメロディーの強さというか美しさを感じるので、ご本人に届くかわかりませんけど、「相沢さんも永ちゃんに負けずに天才ですね!」と、ここではっきり言っておきたいなと思います(笑)。
J 僕も相沢さんのこの世界観、この失恋ソングのラインも好きで、実はこっそり、「あのソング」と勝手に思ってるんですけど、「♪あの空の彼方に」とか、「あの何とか」っていうフレーズが歌詞にたびたび出るじゃないですか? これってね、「リバプールより愛を込めて」にしても、「♪追いかけたあの頃〜」とかで、あと(相沢さん作詞の矢沢永吉さんの)「ウイスキーコーク」のあの頃感があるじゃないですか?『ゴールドラッシュ』の収録曲「ボーイ」も確か相沢さん作詞だと思うんですけど、あれもなんか、「あの頃の○○」っていう感じの歌詞だったような気がするんですよ。だから、相沢さんの「あのソング」はね、結構ハートに来るんですよ!
S 昔のつらい思い出とか懐かしい思い出とか、何かそういうものをすごく美しく描く術に長けているというか、綺麗な結晶になった宝石のようなキラキラ輝くものに変えて歌にできる相沢さんはすごいなと改めて思いますね。
J 数あるNOBODYの楽曲の中でも、この曲はトップクラスに入る名曲なんですよね。もう一つ好きなポイントとしては、これも勝手にさっき命名したんですけど、ギタリスト相沢行夫が繰り出すドリル型イントロというものがお気に入りでして(笑)。
S それ、どういう意味ですか(笑)?
J 音域の低いところから高い方に行くバッキングのフレーズで、♪ドゥリリリ、ドゥリリリッティティレ〜みたいな、なんか潜るような感じのフレーズと言いますか、「BACK TO BACK」でも同じようなバッキングが聴けまして、♪ドゥリリリディッティー、ドゥリリリディッティーーってくるでしょう? ということは、『ゴールドラッシュ』の収録曲「昨日を忘れて」で聴こえるバッキングのフレーズも相沢さんが弾いてるのかなと予想してまして、もしかしたら『RISING SUN」の「HEY BOBBY」のイントロも相沢さんなのかなっていう気がするんですよね。
S あのアルバムのギターは、NOBODYのお二ですもんね。
J ただ、何曲か、今剛さんがギタリストとして入ってるらしいんですよ。でも、「HEY BOBBY」のイントロのフレーズは、相沢さん得意のフレーズ「ドリル型イントロ」の部類だと思いますよ(笑)。
S 確かに相沢さんの手癖っぽいって言われてみれば……。
J 思うに、相沢さんのドリル型イントロは発明の部類だと思いますよ(笑)。ゆったり目の曲にこのくらい音数の多いフレーズ入れて、それでいてテンポを速く感じさせないところが、そう思う由縁ですけども。
S 永ちゃんの曲ってメロディーの音符と音符の間に独特の間があるような印象があるので、メロディーの音の隙間を相沢さんのちょっとトリッキーなフレーズが埋めるといい感じのグルーヴが出るっていうか、そういうケミストリーなんじゃないですか?
J でね、オリジナル盤とこのリミックス盤はしょっちゅう聴き比べてるんですよ。颯洋さんももうお気づきになってたようですけど、リミックス盤だとサビの歌い出しが木原さんになってるんですよね。ところが、オリジナル盤だとサビの歌い出しは相沢さんなんですよ。で、コーラスの下のパートを木原さんが歌ってるんですよ。だから、たぶん、ヴォーカルのパートは4本録ってるんだと思うんですよ。要は、(上下のハモリパート以外にも)相沢さんの主旋律ヴァージョンと木原さんの主旋律バージョンも録音していて、今回、それを蔵出ししたのかなと。この事実に気づいてから「新たにサビの歌い出しを木原さんにしたのは何でなんだろう」って疑問があって、ずっと考えてましたね。僕は今回のこのリミックスが大好きで、木原さんの声でサビが始まった方が良かったっていう感じがありますよね。
S 今回、こうしたことで、ヴォーカルの掛け合う感じがよりバンドっぽいっですよね。
J それもありますね。木原さんの声で切ないメロディを歌われるとキュンときちゃうんですよね。何だろうこれ?
S 木原さんの声って、ジョン・レノン的な要素、ジョン的な泣きのテイストのパーセンテージが高いんで、そういうことかなと思います。
J この曲のギターソロも木原さんが弾いてるような感じがするんだよなぁ、何となく。違いますかね?
S 想像するとそういう感じかなっていう気はしますね。
J オリジナル盤では分からなかったんですけど、この2023年のリミックス盤だとギターがLRに振ってあるので聴き取れたんですけど、ほとんどのバッキングのあの♪チャッチャッチャッ、ジウンディーリーリーってフレーズはきっと相沢さんだろうと予想してるんですが、同じようなフレーズを木原さんも弾いてるっぽいんですよ。そこがね、またさらにバンドっぽくて、僕はちょっとグっときましたね。
S でも今夜お届けしている2023年のリミックスヴァージョンが、本当のファイナル・アンサーというか、リアルな最終版だと思うんですよね。「当時は再現できなかったかもしれないけど、このリミックスで実現した今の最高の音質で楽曲を聴いてくれ」っていうNOBODYのメッセージだと思って聴いてますよね。
J 今回のリミックス、僕は大好き!じゃ、曲紹介、行きましょうか?
S NOBODYで、「SUMMER'S GONE」。 ♪〜〜曲が流れる〜〜 

人生の真実を骨太に歌う名曲

J  今夜は、NOBODYの『GOT A FEELING』を紹介しております。ただ今聴いてもらったのは、「SUMMER'S GONE」。この曲が本当に好きで、改めて曲を聴きながら、2、3回、「いや、いいわぁ」って言っちゃいましたけど(笑)。次に紹介するのは、木原さんがリードヴォーカルをしている「THE LAST WALTZ」。この曲の選曲理由はいかがでしょう?
S タイトルはかつて映画化されたザ・バンドの解散ライヴのドキュメンタリー映画のタイトルから取ってますよね。自分がすごく気に入ってるポイントは、故郷を出ていく男の持ちを歌ってるんですけど、この手のロックナンバーの歌詞だと、普通は何かこう、「故郷を出て、俺は人生という勝負に勝つ」みたいなちょっと勇ましい感じの歌が多いんですけど、この曲の歌詞はそうじゃないところが魅力的ですね。寂寥感って表現が適切なのか分かりませんが、「この街にこのままいても何も変わらないから、俺は出て行くよ」みたいなテイストの歌詞なので、「頑張れば夢は叶う」みたいなポジティブな歌が多かった時代としてはかなり異色ですよね。当時の少々浮かれたような世相に背を向けるというか、全然バブリーではないメッセージでアルバムが終わるところが逆に深いなと思いましたね。ただ、このこの曲の良さは当時のマスコミは分からなかったみたいで、「マージービートを標榜してデビューしたバンドなのに、なんでラストワルツとか、アメリカっぽい感じの曲で終わるの?」みたいなことを某音楽雑誌に書かれたみたいなんですけど、そういうことを書いたライターは捉え方が浅いなっていうか、何も分かってないなと今になって思いますね。
J 僕はさっき、「『GOT A FEELING』はNOBODY前期の集大成では?」って言ったじゃないですか。この曲はまさにそうじゃないかと思っていて……。リズムギター、アコースティックギターのストロークのリズムの取り方がジョン・レノンの「Happy Christmas」(のオマージュ)だろうと思うんですよね。と同時に、この曲のギターソロはスライドで弾かれてますけど、ジョージ・ハリスンをオマージュしてるのかな?みたいな感じもあるし、ちょっと飛躍しすぎてる捉え方かもしれないですけど、「ジョン・レノンがいなくなった街は寂しすぎる」みたいなことを歌詞で言ってるのかな?って思っていて。だから歌詞の最初に「12月」って言うワードが登場するんですよね。その後は何だっけな?
S ♪夜明けの街を気にしながら通りを渡る・・・
J ジョン・レノンが星になったのは、夜の11時とか10時とかそれぐらいだったと思うんですけど、もしもそれが夜明けだったとすれば、「ジョンは本当にいなくなっちゃった。そこ(暮らしていた街)じゃないところ(天国)に行かなければならない」というメッセージが託されていたのかな?という予測で、歌詞の最後の方で、「街はもうちょっとしたらクリスマス」って言ってるから、ストーリーはクリスマス前が舞台じゃないですか? ジョン・レノンの命日が12月8日なので、そういう解釈もありなのかなと。さらに言うと、「もうこれで僕ら一旦、この世界からいなくなるよ。また新しいところに行こうと思ってるから」っていうNOBODYからのメッセージが歌詞の裏に入ってたりしてということも考えましたね。
S 「♪寂しくはない 戻らない 戻れない 昨日までの俺に」って、歌詞の終盤で言ってますからね。
J なんか、(そういう深いメッセージを曲に込めて)2人で、ジャン、ジャカジャジャン、ジャン、ジャカジャジャンっていうストロークのリズムで(これまでの自分たちを)葬ってるのかなっていう。めっちゃくちゃ僕の勝手な深堀りですけど(笑)。
S いやいやいやいやいや(笑)。でも、バブリーな時代にリリースされた作品ですけど、やっぱりこういう曲でアルバムを締めるのは渋いなっていうか、なんかもう人生の真実を骨太に歌ってるって感じがするもんね。
J そうなんですよね。もちろんそこに至ったのは颯洋さんが最初に教えてくれた「故郷を出ていく心情を歌いつつも、勇ましい気持ちよりも寂寥感の方が強い」っていうレヴューもあったんで、前々から「♪12月〜っていうワードと、町はクリスマス〜 ていうフレーズが気になってて、「もしかして、裏テーマはジョン・レノン(の他界)だったりして」という思いよぎったんですけど・・・
S その要素も十分あるんじゃないですかね。
J この曲と同じく木原さん作の「MAD DREAMER」でもそうじゃないですか? ♪クリスマスさえ待ちきれないまま〜 ってフレーズがありますし。
S あれは聴いてすぐに、ジョンのことが歌われているのは分かりますけどね。
J なんか、歌詞の裏テーマはその辺なのかなという感じもあるんですけど。僕は結構、この曲好きですね。
S 今聴いても歌詞の世界観に込められたメッセージは深いですね、本当に。
J それじゃ、いきましょうか。
S NOBODYで、「THE LAST WALTZ」。♪〜〜曲が流れる〜〜


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J 今夜の『ロッキンスター』は作詞家の吉里颯洋さんをお迎えして、NOBODYの6枚目のアルバム、オリジナル盤は1988年1月25日リリースになりました『GOT A FEELING』を紹介いたしました。
今、バックで「DREAMIN' BOY 70'S」を流しているんですけど、先ほど流した「THE LAST WALTZ」(の裏テーマ)がもしもジョン・レノンだったとして、 選曲会議で颯洋さんから指摘がありましたけど、この「DREAMIN' BOY 70'S」では、♪終わらない70'S って歌詞で言ってるんですよね。(時系列を整理すると)ジョンがいなくなったのは80年ですもんね。だからやっぱり、70年代まで(の音楽、カルチャー)が僕らのルーツであって、その後のことを歌った「THE LAST WALTZ」でここから僕らは去るからっていうメッセージだったのかなぁという超深読み。なので僕はその仮説を自分で勝手に作ってから、「このアルバム、NOBODYのキャリア前半の中では名盤じゃねぇの?」のって思うようになったんですよね。
S なるほどね。楽曲、歌詞の端々にNOBODYのメッセージが感じられると……。

ついにわがった『ガッタ』とは?

J もう一つね、インパクトがあるコメントをさっき思い出したので、ちょっとご紹介しますね。この『GOT A FEELING(ガッタ・フィーリング)』が出た頃に、何かのテレビ番組だったような気がするんですけど、NOBODYが出たんですよ。そのときに「今回のアルバムはどんな感じですか?」って司会の女性が聞いたら、相沢さんが「すごくつかむものがあって、得るものがあった。それが『ガッタ』なんですよ」と答えると、木原さんがね、(東北訛りを真似て)「やっと今になって、わがった!」って言ったという(笑)。「若干、訛りが入ってますけど」って自分で言ってましたけど(笑)。颯洋さんは『あまちゃん』が好きだからよくわかると思うんですけど、東北系の方言の「わがった、わがった」っていうフレーズで、英語のタイトルと韻を踏んでみせたという(笑)。
S 「いがった(良かった)ね!」みたいな感じの東北弁ですね(笑)。
J リリース当時のNOBODYのお二人が、なぜか東北弁で「やっとわがった!」って言ってたんですよ。さっき思い出しました(笑)。
S 実は、そういうキャラだったんだ、木原さん(笑)。
J その時の印象があったんで、僕は何気に「もしかしたら、(何かしらの収穫があったと公言するからには)このアルバムがキャリアの前半の集大成じゃないかな?」と思ってるんですけどね。颯洋さんは、『GOT A FEELING』について、どうお感じですか?
S 何かやりたいことがちゃんとできたっていうか、そういう達成感じゃないけど、クオリティの高さは全体から感じますよね。さらに言うと、NOBODYデビュー以前の矢沢ファミリー時代は永ちゃんっていうすごく強いボーカリストがいて、がっつりとしたバンドサウンドで支えてましたけど、相沢さん、木原さんが「いざ2人になって、俺たち、これからどういう音を作ってくんだ?」といろいろな試行錯誤があった中で、最初のひと区切りじゃないですけど、「あれこれ模索した中でやっぱり、このテイストが俺ら2人の求めるサウンドなんじゃないの?」っていう結論を、このアルバムで示した印象がありますね。
J (東北弁の訛りで)「今になって、やっとわがった!」あれね、名言ですよ(笑)。
S いがったね!みたいな(笑)。「神奈川育ちなのに、木原さんがそこで東北弁か!」みたいな(笑)。相沢さんの地元の北海道の方言がどうなのか、詳しくは知らないんですけどね。
J そうっすね(笑)。この親父ギャグ的なコメントを聞いてからはもう、『GOT A FEELING(ガッタ・フィーリング)』リリース直後のNOBODYのコメントは「本当、わがった!」の一言だったってイメージしかなくなってきてまして(笑)。またね、見逃せないのは、この『GOT A FEELING』のジャケットで初めて、NOBODYは顔出してるんですよね。これもまた、何かの現れなのかな? 自信というか、「コレですよ、俺らが目指すサウンドは」っていうメッセージのような気がしていて……。ジャケットの写真で手に持っているものもイギリスの有名な・・・
S たぶん、フィッシュ&チップスですよ。魚のフライとポテトフライの付け合わせみたいな。
J それを新聞紙でくるんで食べるのが向こう(イギリス)の人たちなんだとかって聞いた覚えがあるたような……。
S ロンドンに行くとポピュラーなんですけど、向こうのファーストフードみたいなもので、昔からね、酒のつまみみたいな感じでパブで出てくるみたいなイメージですけど。
J 俺、結構フィッシュ&チップス好きなんですよね。フィッシュだけ、3個食いたいみたいな感じで(笑)。
S 昔、会社員だった頃に、イギリスに3ヶ月間出張で行ったんですけど、フィッシュ&チップスは1回も食べてない気がする。
J 今度、いつか食べに行きましょうよ。
S 魚、苦手なんですよね(苦笑)。イギリスの定番料理なので、ブリティッシュ・パブの「HUB」でならたぶん食えますよね。
J という訳で、今週の「ロッキンスター」は作詞家の吉里颯洋さんをお迎えして、NOBODYのキャリア前半の一区切りのアルバムだと勝手に定義付けしてますけども、NOBODYの6枚目のスタジオ・アルバム『GOT A FEELING』を紹介いたしました。
今夜のラストはですね、グッと遡りまして、NOBODYの原点でもある「マージービート・メドレー」をお届けします。これで俺、結構、原曲を覚えましたね。
S 俺も同じくで、さんざん歌いまくって曲を覚えましたね。もう一生懸命、歌詞カードを見ながら英語の歌詞に口が回るまで、レコードを聴きながら一緒に歌った思い出がありますね。
J バンド名もなかなかのインパクトでして、何とかダコタスとか……。
S いろいろありましたね。ジェリー&ペースメーカーズ、ホリーズ、ゾンビーズ……。
J 最初のヴァージョンだとイントロのDJが小林克也さんでしたよね。という訳で、颯洋さん、ぜひ次回の特集は『HALF A BOY HALF A MAN』なので、またよろしくお願いします。
S こちらこそ、よろしくお願いします。
J という訳で、颯洋さん、今夜ラストの曲紹介をお願いします!
S NOBODYで「THE MERSEY BEAT MEDLEY」!♪〜〜曲が流れる〜〜


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NOBODY SONGS
BAD RHYME
『FUZZ FUZZ FUZZ』
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過去のオンエアのトークは、以下の記事で公開しています。

【ほぼ全文掲載】「ロッキンスター」NOBODY特集_#06 『RESTLESS HEART』

【ほぼ全文掲載】「ロッキンスター」NOBODY特集_#05 『From A Window』

【ほぼ全文掲載】「ロッキンスター」NOBODY特集_#04 『NIGHT WALKER』

【ほぼ全文掲載】「ロッキンスター」NOBODY特集_#03 『LIVE ワン!』