『ロッキンスター』と、俺とNOBODY
かつしかFMをキーステーションに全国28局ネットで放送されているラジオ番組「ロッキンスター」は、DJ佐々木健二さんのマニアックな選曲で、時代を超えたロックの名曲たちを紹介していく音楽プログラム。 タワーレコードでの『NOBODYレコードデビュー40周年リイシュー企画』に同期するように、同番組でNOBODY特集を隔月でオンエアすることが決定。某SNSに今でも存在するNOBODY関連のコミュニティで、私こと吉里颯洋とDJの佐々木健二さんが知り合ったご縁もあり、光栄なことに初回からゲストとしてお招きいただいています。本特集のコンセプトは、各回ごとにNOBODYのアルバム1枚にスポットを当てて、名曲の魅力をファン目線であれこれ語り合うというもの。
今回は、2023年12月13日、NOBODY3枚目のスタジオアルバム『NIGHT WALKER』をテーマにオンエアされたトークをテキストにしてお届けします。
しかし、こうしてテキストにしてみると、なかなかにディープですね(笑)。「面白い!」と思ってくださったNOBODYファンの方がいたら、「NOBODY特集」はまだ続いていますので、今後のオンエアをお楽しみいただけたら幸いです。
※以降、『J:佐々木健二さん / S:吉里颯洋』と省略して記載します。
名盤『NIGHT WALKER』とは……?
J 皆さま、ご機嫌いかがでしょうか? 佐々木健二でございます。今夜は作詞家の吉里颯洋さんをお迎えしております。颯洋さん、お久しぶりです!
S こんばんは。よろしくお願いします!
J 2ヶ月ぶりですね。
S そうですね。はい。
J 颯洋(そう)さんがやってきたということは、今夜の特集は、NOBODYでございます! 今日はどれ行きましょう?
S 今日はですね。1984年リリースの3枚目のスタジオアルバム『NIGHT WALKER』をぜひ聴いていただければと思います。
J 以前に、以前、結構前ですけど、このアルバムを番組で流して特集した時に、何人かのファンの方からメールが来て、「このアルバムからNOBODYを知った、聴き始めた」っていう人が結構多いんですよ。だから、さっき打ち合わせで颯洋さんが言ってましたけど、「実質、このアルバムがデビューアルバムっていう位置付けでもいいんじゃないか」みたいな認識もあって……。
S このアルバムが出る前からNOBODYの楽曲の良さは知れ渡ってましたし、ソングライターのチームとして充分に実績を積んでたんですけど、他人に提供した曲は、作曲はNOBODYだけど別の作詞家さんが別の歌詞をつけて誰かが歌ってヒットするみたいなパターンだったんですよね。 このアルバムからは、お2人がガッツリ自分で作詞して、サウンドも練って、NOBODYの世界を構築していったイメージがありますよね。
J というわけで、今夜はNOBODYの『NIGHT WALKER』、聴いていこうと思うんですけど、ちょっとタイトルコールをやらさせてもらいます! そういう訳で、『ロッキンスター」のお時間ですよーーーーーーーーーー!
いや本当にね、颯洋さんとのこの2ヶ月に1回のNOBODY談義をするのが楽しみで……。発売当時はもう毎日のように聞いてたんですけど、朝のウォーキングの際に、久しぶりにちゃんと集中して、がっつり2、3回聴いたかな。 「いいアルバムですよ!」っていうと単純ですけども、改めてそんな感想を持ちましたね。さて、2023年の2月22日からタワーレコード限定で、「レコードデビュー40周年リイシュー」として2枚ずつぐらいアルバムがリリースされていまして。 『NIGHT WALKER』のオリジナルリリースは、1984年の10月21日ですね。個人的な印象を言うと、ファースト・アルバム、セカンド・アルバムのいわゆる「ギター・バンド」みたいなスタイルを、もう完全に脱してるっていうイメージですね。
S そうですね。曲によってはギターがほとんど聴こえてないトラックもあるので、「NOBODYと言えば、ギターを持った2人組。ロックンロール・ギターデュオ」みたいなイメージがあったかと思うんですけど、ちょっとそこから一歩進んで、新しいドアを開けた的な感じがしましたね。
『I'M NOBODY』に受けたショックの理由
J そうですね。というわけで、まず1曲、ご紹介したいなと思うんですけど、この曲のシングル盤は『NIGHT WALKER』と同時発売だったかな? 違うな。もうちょっと前ですね。1984年の4月5日に、『I'M NOBODY』が出てます。
S (アナログの)シングル盤買いましたね、これ。
J 俺も書いました。B面が「PURE GIRL I & II」が入ってるやつですよね?
S そっち(B面)を目当てにして買ったっていう思い出がありますけど(笑)。
J 正直、僕、『I'M NOBODY』聴いた時に、ついて行けなかった気持ちが半分ありました。なんかやっぱり、お二人のギターの音が欲しかったんで。
S やっぱり、〈♪ジャージャッチャッチャジャー〉とギターのバッキングのフレーズを口ずさんで)「NOBODY=ロックンロールのギター』っていうイメージがもうなんか染みついてるっていうか、NOBODYっていうとそれみたいなイメージでいたんで、「あ、こっち(打ち込みメインのポップスに)行っちゃったの?」みたいな、そういうショックがありましたね。
J (『I'M NOBODY』で)ギターらしきフレーズとしては、サビのバックでかすかに聴こえるバッキングのフレーズがあって、今聴き返すと、(ギターの音が)薄く残ってるような気がするんですけど、当時はそれさえも絶対ギターではないっていうふうに思っていて……。 ただ、あそこだけは、僕はギターっぽいと思ってたんすよ! なんかね、せめてそれだけが救いだったの(笑)。
S 俺的には、「(ギターの音を)全部抜いちゃってショック!」みたいな感想で。佐々木さんのように好意的に、「ここはギターだ」って解釈せずに、「あぁ、ギターの音、抜いちゃったよ」みたいな(衝撃があって)。 自分なりに、「よっぽどハンドルを切って、違う方向に行きたかったんだろうな」っていうのを察したんですけど……。
J ただね、この『I'M NOBODY』が出た頃だったと思うんですけど、NOBODYが日本青年館でライヴをやって、それがねラジオで流れたことがあるんですよ。当時、兄貴から聞いた情報で、「1曲目が『I'M NOBODY』だったぞ」っていう話で。「この曲、どうやってライヴでやったの?」って言ったらば、曲の頭の〈♪ズッチャ!ズッチャ!ズッチャ!〉っていうところは、もう木原さんだったかな、ベースと同じように(ビートを刻むようなフレーズをギターで)やってたと。 兄貴の話を総合すると、(キーボードのキメのフレーズも)ギターで大胆に弾いてたらしくて、さっき話したサビのバックもギターでやってんだけど、サビの後の間奏のキーボードのフレーズもギターで(ユニゾンで)やってたって言うんですよ。「それ、聴きてぇ!」と思ったわけですよ。
S 「ライヴになると、そういうバンド・ヴァージョンになるんだ」みたいな事実を知ったと……。
J そうなんです。そのラジオ番組を兄貴が録音してくれて俺に(カセットテープで)送ってくれて、それ聴いて「あぁ、そうなんだ」って(ライヴならではのアレンジがあると知った)。
S 種明かしじゃないけど……。
J でもやっぱね、(サウンドスタイルの移行は)ちょっとショックではあったけど、でもやっぱり、この『NIGHT WALKER』それと次の『From A Window』の幕開けとしては、これじゃなきゃ駄目だったんでしょうね。というわけで、今夜の『ロッキンスター』は、NOBODYの『NIGHT WALKER』を紹介していきたいと思うんですけど、颯洋さん、その曲ごの紹介お願いします。
S はい。NOBODYで、「I'M NOBODY」。♪〜〜曲が流れる〜〜
J NOBODYレコードデビュー40周年企画として2023年2月22日にリイシューされましたけど、オリジナルは1984年の10月21日リリースされた『NIGHT WALKER』から、「I'M NOBODY」を聴いてもらいました。この曲のエンディングはカットアウトだったんですけど、これもね、好意的に捉えてるんだと思うんですけど、永ちゃんのアルバム『Kiss Me Please』はい結構カットアウトの曲が多いんですよね。なんかその辺があったんで、NOBODYでもやったんだって勝手に思ってたんですけど、歌詞の世界観はどうですか?
S そうですね。自分が好きなNOBODYの曲って、失恋をしたか、片思いしてるかみたいなシチュエーションの曲が多いんですけど、相沢さんが矢沢永吉さんに作詞された「SHAMPOO」っていう『RISING SUN 』に入ってるミディアムテンポの曲がありまして。その曲の歌詞の後半で〈22階の窓からガラスの街に叫ぶ おまえの名前灰色 風に染まって飛んだ〉っていうフレーズがあるんですけど、「I'M NOBODY」の後半で〈32階の窓の外 こんなシベールの日曜日 心は何も感じないエモーション〉っていう同じようなシチュエーションを歌ってるフレーズがあるんですけど、「永ちゃんの「SHAMPOO」は「22回」で、NOBODYの「I'M NOBODY」だと「32回」だから、階数が10階上がってるのはどういうアレかな?」みたいな(笑)。
J なるほど。
S この曲、すごくビートが効いてて、モータウン調のビートに言葉を叩きつけるように歌ってる感じなんですけど、この「シベールの日曜日」っていうのは映画のタイトルで、1960年代前半のちょっと悲しげな感じのフランス映画なんですよね。だから、この80年代の当時の最新のサウンドにアップデートしたアレンジで歌ってるんですけど、その歌詞のフレーズに出てくる映画のタイトルは60年代なので、要は、自分のルーツまでは捨ててないっていうか、一応流行りの服は来ましたけどみたいな、そういうところにこだわりを感じてましてたけどね。
J 深読みですけど、その当時の時代の最新のモードに合わせて自分たちのサウンドも変えなきゃいけないんだけど、やっぱりそういった60年代(のルーツミュージック)ってのはあるよ。 そういう中でどっちつかずだから、「I'M NOBODY」って言ってるのだったりしてっていうのも、ダブル・ミーニングとして、どうすかね(笑)?
S ちょっとそれは違うかなと思うんですけど(笑)、「 NOBODY」っていうワードが結構歌詞にいろいろ出てくる中では、この曲がタイトルに使ってるだけあって、とどめを刺すじゃないけど、 NOBODYっていうユニットの名刺代わり的な感じで世に出したかったんじゃないかなっていう気はしますね。
当時のライヴ事情&歌詞の深掘りトーク
J そうでしょうね。次に紹介する「DARLIN' DARLIN' 」なんですけど、日本青年館でのライヴを、(エアチェックした)テープで聴いてたって言ったじゃないですか? でね、もうそのライヴで、「愛しのコンピュター・ガール」と「LADY」もやってたかな? あとは、「DARLIN' DARLIN' 」もやってたんすよ。はい。あと、その頃にスタジオライヴもやってるんですよ。その時には「チャイナドールと踊れない」と「真夜中のラナウェイ」をやっていて。今回のリイシュー(盤)を聴いて「そうか!」と思ったんですけど、(収録されてるデモ・ヴァージョンの)あの面影の感じでやってるんですよ。 「チャイナドールと踊れない」は、(そのスタジオ・ライヴでは)「I DON'T WANNA DANCE」っていうタイトルだったはず。〈 I DON'T WANNA DANCE I DON'T WANNA DANCE YOU'VE GOT なんとか〜〉って感じで、リイシュー盤のデモテープと同じ歌詞でした。
S スタジオ・ライヴでも、英語のデモの歌詞で歌ってたっていう……。
J あの感じでした。でね、「愛しのコンピュター・ガール」は日本青年館でやってるんですけど、本当かどうかわかんないけど、「マジック」っていうタイトルになってて、すごいアップテンポなんですよ。もうね、<ワン、ツー、スリー、フォー! ッカン、カンカン、カンカン、カンカン、ッカン、カンカン、カンカン、カンカン・・・、ターン、ターン、ターン!>って感じ。あれもデモテープに入っている英語の歌詞で歌ってました。
S あぁ、やっぱ、あれなんだ。『LIVE ワン!』みたいな感じで、日本語の歌詞を付ける前の英語のデモの歌詞のヴァージョンでもライヴでやっちゃうみたいな……。
J そうです、そうです! 「LADY」はほぼそのままだったかな? 「真夜中のラナウェイ」が、「HEAVY NIGHT」っていう曲だったはずなんですね。(「真夜中のラナウェイ」のサビのメロディに乗せて)〈HEAVY NIGHT HEAVY NIGHT 真夜中のCITY LIGHT, CITY LIGHT〉って歌ってたはず。「DARLIN' DARLIN' 」はほぼほぼ今の形なんですけど、サビの歌詞が〈I WANNA TELL YOU DARLIN' DARLIN' 〉って歌っていて。それでずっと覚えてたんで、「愛しのコンピューター・ガール」なり、他の曲も日本青年館とかスタジオ・ライヴで先に知ってたんで、『NIGHT WALKER』をパッと聞いた時に、(オケから)ほぼギターなくなってて寂しくなってたんですが、「DARLIN' DARLIN' 」だけが結構(ギターの音が)残ってるんですよ。 あれでね、ほっと一息って感じだったんですよ。
S そうっすね。この曲は何か、この『NIGHT WALKER』に至るまでの、それまでNOBODYのイメージが続いてるような曲で、(似たテーマの)「BACK TO ’64 」と歌詞の世界観とは違うんですけど、こっちの方が完成度が高いかなっていう気がしますね。
J では、曲紹介お願いします!
S はい。NOBODYで、「DARLIN' DARLIN' 」♪〜〜曲が流れる〜〜
J 今夜は作詞家の吉里颯洋さんをお迎えして、NOBODYのサード・アルバム『NIGHT WALKER』を紹介しております。今聴いてもらったのは、「DARLIN' DARLIN' 」。名曲ですね!
S そうですね。なんか胸キュンっていうかね、そういう感じがあって。あのNOBODYの楽曲全般に感じるんですけど、木原さんが歌ってる曲は木原さんがご自分で作詞されてるとして、相沢さんの曲よりちょっとキャラが若いっていうか、歌詞の世界観が若いなって感じていて。 お2人が矢沢永吉さんに書いた歌詞の中で、失恋ソングっていうか、片思いとか女性に振られたとかそういうシチュエーションの曲をピックアップして比べてみたんですけど、永ちゃんの曲だと木原さんの書く歌詞の方が若いってことはないんですけど、NOBODYの楽曲だとやっぱり自分が歌うために作ってるんで、素が出てるのかな?みたいな気がしていて。ちなみに、木原さんが永ちゃんに書いた歌詞は、「バイ・バイ・サンキュー・ガール」「涙のラブレター」「今日の雨」「冷めた肌」「通りすがりの恋」。相沢さんが手がけたのは、「昼下がり」「最後の約束」「I Say Good-Bye So Good-Bye」「雨のハイウェイ」「HEY BOBBY」「レイニー・ウェイ」「SHAMPOO」「キャロル」「燃えるサンセット」「バイ・バイ・マイ・ラヴ」。結構、永ちゃんの歌詞では、「バイ・バイ・マイ・ラヴ」とか「キャロル」とか、「燃えるサンセット」とか。若い感じの青春シーンを相沢さんが書いてますけど……。
J そうですよね。(永ちゃんに提供した)相沢さんの歌詞って、「青春」を感じますね。それに対して、木原さんの歌詞は結構リアルな感じというか……。失恋ソングではないですけど、失恋ソングにもなるのかな? 「世話がやけるぜ」の作詞も木原さんですよね? なんか、リアルなんですよね。〈そこで彼女に会ったら抱き上げろ〉だとか、なんか生々しいというか……。あの「兄貴に相談」もそうだったかな?
S そうですね。「世話が焼けるぜ」「兄貴に相談」、「Hey Diana」とか、「ラッキーマン」も木原さん作詞ですね。
J そうそう! 「ラッキーマン」も結構リアル! 〈♪口説き落とすのはグッドワイフ〉とかって、リアルな男のかっこよさというか、キザな感じ? なんかそれを木原さんの歌詞には感じるかな。
S 「ガラスの街」とかね。
J そうっすね! NOBODYになっても、僕は相変わらず、ちょっとその(矢沢ファミリー時代の)面影を感じることがあるかな。何となく、木原さんの歌詞の方がちょっととんがってるというか、少し斜めから世界見てるというか。
S このアルバムの「MTV SHOCK」とか、それこそ大学生ぐらいのチャラい若者がブー垂れてるみたいな、それぐらいの軽い感じじゃないですか?
J 確かに(笑)。言えてる。ちょっと、もう1曲行っときますかね。「LADY」、行っときますか?
タメる天才メロディメーカー・相沢さんの魅力
S そうですね。これ、相沢さんの曲の中ですごい自分が好きな曲で……。失恋の歌なんですけど、なんかやっぱり、「NOBODYのルーツはマージービート」って軽く言いますけど、この曲の背景にはそれだけじゃ済まされない、もっと多く奥深いものを感じるっていうか……。あえて言うなら、ロック以外の映画音楽だったりとか、そういう相沢さんの豊かな音楽性を感じるというか。「サウダージ」っていう言葉があって、ポルトガル語で郷愁とか哀愁みたいな意味なんですけど、よくボサノバの楽曲や演奏に「サウダージを感じるね」みたいな褒め言葉があるんですけど、そういうサウダージ感、噛み砕いて言うと「今はないものや昔のことを思い出して切なく思う気持ち」を相沢さんは自分の作るバラードの中で、すごく美しく、映画のシーンのように表現される方なんで、「いや天才だな」と思って、「LADY」を聴いてますけどね。
J この詩の世界観で、メロディーがスイングしてるところが出てくるんですよね。 〈消せはしない〉っていう箇所は〈ン、チャララ、チャララ〉っていう風にメロディの冒頭にタメが入ったりとか、(〈だけど思い知らされた〉の箇所をハミングで歌って)あそこはね、メランコリックでいいんですよね!「なんちゅうメロディーを」と思ったもん。
S やっぱり、相沢さんの曲で描かれてる世界が、木原さんの世界よりもちょっとアダルトっていうか、そこが素敵だなって思いますね。
J じゃ、曲紹介を!
S はい。NOBODYで、「LADY」♪〜〜曲が流れる〜〜
J 今夜の『ロッキンスター』は作詞家の吉里颯洋さんをお迎えして、NOBODYのサードアルバム『NIGHT WALKER』を紹介しております。さっき、ちらっと曲が流れてる時に申し上げたんですけど、相沢さんのリズムの取り方がジャストじゃなくて、少しレイドバックっていうんですか? 少し遅れる感じがあるというか……。
S タメがあるみたいな?
J (「DARLIN' DARLIN' 」のサビのコーラスパートを歌って)〈WON'T YOU PLEASE COMIN' HOME TO ME〉じゃなくて、〈ワン、ツー、スリー、フォー、ン!WON'T YOU PLEASE COMIN' HOME TO ME〉っていう感じで、(フレーズの頭にタメが)少し入ったりとか。「LADY」でも、(サビのメロディを歌って)〈消せはしない胸の思い〉じゃなくて、〈ン!消せはしない ン!胸の思い〉って感じで、少し(フレーズの)頭が遅れる雰囲気が絶妙で……。相沢さんのギターのソロもね、なんかそんな風な癖があるように感じていて、実は初めてNOBODYが動いてるのを見たときに、最初は変だと思ったんですよ。でもそれが颯洋さんが言うように、もしかしたら病みつきになるNOBODY独特のグルーヴだったりしてっていう感じもしたんだよなっていうのがあって……。
S もちろん、技術的に下手とかじゃなく、半分狙ってやってるんじゃないかと思うんですけどね。
J 木原さんのギターってとてもザクザクしてるイメージがあって、『LIVE ワン!』の「MAD DREAMER」のイントロのカッティング、〈ジャンジャッチャージャジャ〜〉ってフレーズは木原さんが弾いてるっぽいんですよ。 トラックは逆になってるので。でも相沢さんが(矢沢永吉さんのライヴ盤で)「ウィスキーコーク」のイントロでも同じようなカッティングをやるじゃないすか? 同じように弾いてるようで、木原さんのフレーズから感じるザクザクの角が全くないんですよ。(ノリがもっとバックビートで)なんか(横ノリでスウィンギーに)流れてる感じで弾いていて。あのノリって、なかなか出せないなっていうか……。 多分、(それぞれが持っているリズム感、グルーヴが異なる)そこは、NOBODYの2人の魅力でもあるのかなって気もしたんですけどね。
S リズムギターを弾いた時のグルーヴというか、お二人のノリが微妙に違うところが、2人合わせるとイイんじゃないすか?
CMソングに仕込まれた爆弾(?)とは?
J 話を戻しますと、その2人の魅力が合わさったっていうのが、(相沢さん→木原さんの順でメドレー形式で歌う)「PURE GIRL I & II」でございまして。これは「ピュアシャンプー」っていう、(メーカーは)花王だったかだったかな?
S そういう名前のシャンプーがあったんですよね、本当にね。
J ありました、ありました。
S それで、それに合わせて、CMソングとして作った曲だと思うんですけど……。
J 「PURE GIRL I 」が相沢さんですよね。「PURE GIRL II」は木原さんなんですよ。相沢さんの「PURE GIRL I 」の印象は、何か王道!そして、木原さんの「PURE GIRL II」はちょっとひねくれてるっていう勝手なイメージがあって……。あのね、当時は、木原さんヴァージョンの「PURE GIRL II」の方が好きでした! なんか2人とも、この曲ではたぶん、「ピュア」っていうワードを何回も言うっていうのがテーマ、お題だったと思いますけど、その捉え方に2人の差が出てて、とっても面白いなっていう。「I'M NOBODY」のB面で、実際これ、2分ぐらいですかね?
S 確か、そうっすね。3分ないぐらいの長さ(実際には「02:29」)だったと思うんですよ。 J ちょっと聴いてみましょうか? では曲紹介を!
S はい。NOBODYで「PURE GIRL I & II」。♪〜〜曲が流れる〜〜
J いいですね!
S いいっすね!
J この曲があったんで、「I'M NOBODY」ショックから、ちょっと救われたってのもありました(笑)。
S CMで流れてきたこの曲を聴いて、これが聴きたくてシングルを買ったっていう思い出があるんで、自分の場合は「I'M NOBODY」がどういう曲だかも全然知らずに予備知識なく買って聞いたら、(ギターレス・サウンドにモードチェンジしていて)「あぁ、ショック!」みたいな思いを味わった記憶がありますね。
J やっぱ、ショックでしたよね?
S ショックありましたね。「やっぱり、こういう曲もシングルで出すってことは、もうファーストの頃には戻らないんだ。ファースト・アルバムの頃のマージービートのサウンドには戻らないんだろうな」みたいなことを感じたのを覚えてますね。
J だからなおさらね、この2曲、「PURE GIRL I & II」を聴いた時に、「なんだよ!(やっぱり、NOBODYにふさわしいポップなスタイルの曲も捨てた訳じゃなく)そうでしょう? なんならもうちょっと長く聴きたいけど!」っていう感じのね(感想を持ちました)。「PURE GIRL II」の後半の歌詞に出てくる「I LIKE THE WAY YOU WALK I LIKE THE WAY YOU TALK」っていうフレーズが アニマルズもカヴァーしている「BOOM BOOM」のの歌詞をそのまんま持ってきていて……。
S あああああ、あれはね、オリジナルは、John Lee Hookerっていうブルースマンなんですけど。
J あの辺を知ったときにはね、「やるな!」と思ったんですよね(笑)。
S (笑)。ちょっと隠し味で(リスペクトするルーツ・ミュージックを引用している)
J あと、〈SINCE THE DAY I SAW YOU BABY I'VE THINKIN' OF YOU〉ってフレーズの遅れ方がジョン・レノンっぽかったっていう(笑)。その後、〈WOO〜〉って伸ばすところの、なんていうかSUS4ですか? オーギュメントというか……。
S テンション(・コード)ね。
J 「(ルーツミュージックを失わず)もう持ってんじゃん、ちゃんと!」っていう……。なんか、とってもこれで救われたっていう心境でしたね。
S 「NOBODYはこのアルバムでちょっと違うテイストを出してるけど、根っ子は変わらないんだ。お2人の中身は同じなんだ」みたいな、そういう安心感をこの曲にもらったみたいなところはありましたね。 J そうですね。でね、B面は「MTV SHOCK」から始まるんですけど、レコードのB面に行くと、(バッキングに)割とギターの音がちょっと出てくるんですよね。「MTV SHOCK」もそうだし、「真夜中のランナウェイ」も割と……。
S アコギがバッキングで鳴ってますよね。
J 鳴ってますね、はい。「おまえをHI-JACKも割と鳴ってるかな。
S 16ビートの細かいリズムのカッティングが聴こる感じですよね。
J 「I'M NOBODY」でまた、(ギターのバッキングが)ほぼほぼなくなって、「SILENT NIGHT」で、相沢さんのメロウな曲で締めるっていうなかなか絶妙なB面だなと思っていて。
S そうですね。シークエンス(曲順)の流れがいいですよね。
J どれ、行きましょうかね? まだ、あと2曲いけそうな時間かな? 「おまえをHI-JACK」いきます?
S 「「SILENT NIGHT」は最後にしましょうか?
J 先に、「おまえをHI-JACK」をかけましょう。この曲、ちょっとコメントしていいですか? あのね、「おまえをHI-JACK」の頭の(ベースのフレーズ) 〈♪ドン・ドドン、ドンペテルッテ〉ってフレーズがあるじゃないすか? あれ、僕が初めてベースでチョッパーが弾けるようになった曲なんですよ。
S コピーしたと(笑)? 思い出のフレーズということで。
J しました(笑)。全然ベトベトでしたけどね(苦笑)。 でもそれだけかっこいい、魅力的な、チョッパーだなと思ったんすよ。そこに、切り裂くような〈♪チクチーンワン!〉っていうギターのフレーズが入ってきて、すぐに〈♪ツッカンツカン、カロンンカンカタ・・・〉っていうあれ(合いの手のバッキング)が入ってきて……。あれ多分、相沢さんじゃないのかな?って気がするんですけど……。永ちゃんの「ゴールドラッシュ」イントロで聴こえる〈♪ドンキガガガ、ドンキガガガ〉っていうギターのフレーズに通じるもんがあるなと思っていて。
S 要は、木原さん、相沢さんの どっちがどのフレーズを弾いてるのかを想像するのが、NOBODYを聴く楽しみの一つっていうことですね(笑)。
J (今にして思えば)だから、たぶん、やっぱりこういう(バッキングの)断片を聴いては、何とかして昔のファーストやセカンドとか、(好きだった初期のNOBODYの面影を)なんか追い続けて、探してたような気がする、俺。
S やっぱり、アレではまってるじゃないすか、我々は。ファーストやセカンドアルバムのテイストで、NOBODYの世界にね。だから、それを100%捨てられちゃうと悲しいみたいな……。
J (当時、そんな心境が)あったかもしれない。それで何か折り合いつけてたような気がするんですけど……。じゃ、曲紹介をお願いします!
S はい。NOBODYで、「おまえをHI-JACK」。♪〜〜曲が流れる〜〜
J NOBODYで、「おまえをHI-JACK」を聴いてもらいました。僕ね、この曲の木原さんのねっとりした歌い方が大好きで、〈♪ブラ〜ックのタキシードでドライヴ〉とか、あとは何だっけ、〈♪ジェ〜〜ムス・ボンドさ〉って歌い回しだったり、(木原さんならではの歌い回しが)すんごい好きなんすよね(笑)。
S 木原節(きはらぶし)ですよ。
J 木原節ですね! 今日最後に紹介するのは、「SILENT NIGHT」。アルバムの最後に入ってるんですけど、この曲を選んだのは?
S これはやっぱり、相沢さんが書いてらっしゃるメロディーの素晴らしさと、(サビのパートの)木原さんの追っかけコーラスのコンビネーション素晴らしくて(選びました)。 いかにもクリスマスソングっていうポップ・チューンなんですけど、じっくり歌詞を味わってよくよくよく読んでみると、〈♪黙って振り向けばそこに君がいてほしい〉とか、〈♪世界中のサヨナラを包んでくれるテンダネス〉とか、〈♪戻ってくれよ 抱き合えたあの日のように〉とか、 歌われているのは好きな人がそばにいないクリスマスなんですけど、それでこの「SILENT NIGHT」っていうよく知られたスタンダードのタイトルをあえてつけたっていうのがいいなみたいな。
J 思い出話をすると、(オリジナル盤発売時に)レコードで買った時に、ジャケットをくるんだビニールにシールが貼ってあって、『NIGHT WALKER 愛を巻き戻してくれないか?』っていうキャッチコピーが入ってたと思います。 ジャケットのヴィジュアルがクリスマスになってて……。
S LPレコードで買ったんですね? J そうです、そうです。この「SILENT NIGHT」を聴いて、「(ジャケットのヴィジュアルは)あぁ、そういうことか」っていう感じではありましたね。はい。このね、〈♪戻ってくれよ 抱き合えた・・・〉あそこの〈♪グッガ、グガゴ、グッガ〉っていうバッキングがカッコいいんですよね。 行きましょうか。曲紹介を!
S はい。NOBODYで「SILENT NIGHT」。♪〜〜曲が流れる〜〜
J 今夜のロッキンスターは作詞家の吉里颯洋さんをお迎えして、NOBODYの3枚目のアルバム『NIGHT WALKER』を紹介いたしました。いかがだったでしょうか? 颯洋さん、僕ね、『NIGHT WALKER』ってね、「木原さんアルバム」っていうイメージがあるんですよ。『POP GEAR』って、「相沢さんアルバム」っていう感じがするんですよ。 ファーストアルバムの『NOBODY』は2人(のアルバム)、その次に来る4枚目のアルバム『From A Window』fはどうなんだ?と。これちょっと、また2ヶ月後の宿題として、ちょっと2人でそれぞれ分析し合おうじゃないかっていうふうに思ってるんですね。
S そうですね。2ヶ月間みっちり研究して(笑)、収録時に語り合えれば……。
J これ(番組収録)をいい機会にして、(選曲を兼ねてガッツリ)聴けるっていうのがいいんですよ。
S そうですね!
J うん。どうですか、『NIGHT WALKER』?
S いや、もうなんかハマり直したっていうか、うん。今年のクリスマスは「SILENT NIGHT」で決まりだみたいな(笑)。
J わかりました。そういう訳でですね、1時間お付き合いいただき、ありがとうございました!ここまでの相手は、佐々木健二と・・・。
S 吉里颯洋でした!
J 来週もね、かっこいい曲持ってきますんで一つよろしくお願いしますよっつう訳で、皆さんまた来週! 颯洋さん、ありがとうございました!
S ありがとうございました! ♪「MTV SHOCK」が流れる〜
『ロッキンスター』オンエア・スケジュール
※リスラジほか、CFMのプラットフォームのサイト経由で、またはスマホアプリで聴くことができます。詳細は、各放送局のサイトにてご確認ください。
▼本放送
・日時 : 2024年7月17日(水) 18:00〜19:00
・放送局 : かつしかFM
・視聴方法: 以下の方法にて、リアルタイム聴取が可能です。
ネット配信 / JCBAインターネットサイマルラジオ
スマホアプリ / Radimo(レディモ)をダウンロードのうえ、「かつしかFM」を選局して、『▶️(再生ボタン)』をタップ。
▼再放送
以下のスケジュールにて、本放送の翌週より、順次再放送となります。
※災害時などに放送スケジュールが変更になる場合もあります。タイムテーブルについての詳細は各局のオフィシャルサイトをご確認ください。
【月曜日】
16:00~17:00 ラジオモンスター(山形県山形市)
19:00~20:00 ラジオふらの(北海道富良野市)
21:00~22:00 エフエムNCVおきたまGO! (山形県米沢市)
21:00~22:00 FMビーチステーション(和歌山県白浜町)
22:00〜23:00 かつしかFM(東京都葛飾区)
22:00~23:00 FMとまこまい(北海道苫小牧市)
23:00~24:00 / (再)27:00~28:00 FMアジュール(青森県むつ市)
【火曜日】
15:00~16:00 / (再)27:00~28:00 FM桐生(群馬県桐生市)
21:00~22:00 コーストFM(静岡県沼津市)
24:00~25:00 FMチャッピー(埼玉県入間市)
【水曜日】
09:00~10:00 エフエムいわぬま(宮城県岩沼市)
10:00~11:00 なとらじ801(宮城県名取市)
18:00~19:00 FMふじやま(山梨県富士河口湖町)
19:00~20:00 ベイウェーブ(宮城県塩釜市)
20:00~21:00 FMいわき(福島県いわき市)
【木曜日】
14:00~15:00 ラヂオ気仙沼(宮城県気仙沼市)
19:00~20:00 エフエムゆーとぴあ(秋田県湯沢市)
22:00~23:00 FMびゅー(北海道室蘭市)
22:00~23:00 wi-radio(北海道伊達市)
23:00~24:00 HitsFM(岐阜県高山市)
【金曜日】
14:00~15:00 レインボーFM(長崎県諫早市)
21:00~22:00 Airてっし(北海道名寄市)
22:00~23:00 ラジオカロスサッポロ(北海道札幌市)
【土曜日】
09:00~10:00 FMはな(北海道中標津市)
18:00~19:00 エフエム萩(山口県萩市)
21:00~22:00 FMジャングル(兵庫県豊岡市)
21:00~22:00 喜多方シティエフエム(福島県喜多方市)
【日曜日】
09:00~10:00 FMはな(北海道中標津市)
15:00~16:00 あいらびゅーFM(鹿児島県姶良市)
22:00~23:00 Airてっし(北海道名寄市)
※さらなる詳細は、企画制作を担当している株式会社ジェイクランプのブログをご参照ください。
リクエスト、メッセージお待ちしてます!
次回のNOBODY特集は『GOT A FEELING』をピックアップして、2024年7月17日(水)に本放送をオンエア予定。収録曲へのリクエスト、それぞれの曲への思い入れなど、番組へのメッセージは、こちらのメールフォームまでぜひお寄せください!